6-8


 僕たちよりも早いスピードで駆け抜けて行くペットボトルロケット。


 次々と町のいたる所にいる仲間の猫達がロケットを飛ばし続けて、まるではち大群たいぐんが兵隊さんに突撃とつげきしている様に見えた。


 すぐにとかい島の兵隊さん達はロケットの存在に気が付いた。


「✕✕✕!?」

「✕✕✕!!」


 あわててやりや弓矢で、飛んでくるロケットを打ち落とす兵隊さん達。

 そのビックリ混乱こんらんしている間に僕たちの飛行機は上昇じょうしょうする。

 ロケットは弧を描いて下降かこうして行くが、飛行機の高度こうどは上がり、天高く飛んでいく。


 あっという間に、僕たちは兵隊さんの弓矢が届かない所まで来ていた。


「マメ! 今だ!!」


 ソックスの掛け声に、僕は号外をき始めた。

 

 いつもは100部作る新聞。

 今日はなんと、200部も作った。

 兵隊さんはもっと多いけれど、これが僕たちの限界だった。


 僕は身を乗り出して、数枚取るといて、数枚取るといて。

 兵隊さんは……というと、落ちてくる紙にビックリして、頭に当たらない様にけている。

 しかし勇気ある兵隊さんは、号外を拾うと、新聞だと理解したらしい。

 周りも次々に拾い始めて、読み始めた。


 僕はどんどんと号外をいて、兵隊さんの動きを止める。

 

 しかし、ちょっと調子に乗りすぎた。


 兵隊さんの群衆ぐんしゅうの半分も来た頃に、新聞は残り数枚になってしまったのだ。

 

 まずい、配分はいぶんミスをした。


 一枚は、絶対に国王様に届けなければならないのに!


「あにゃにゃにゃにゃにゃにゃ……」

「どうした、マメ!?」

「ソックス、あと新聞が、数枚しか……」


 その時だった。

 軍隊の合間あいまに、黒い筒が乗った台車の様な物が見えた。

 筒の口がキラリと光る。


 ドオォオオン!!


 爆音ばくおんと共に大きな黒い球が僕らめがけて飛んできたのだ。


「うわあ!」


 ソックスが慌ててハンドルを切るが、どんどんと黒い球が僕らめがけて飛んで来る。

 僕は咄嗟とっさに手すりに捕まったせいで、残り数枚の大事な新聞を全部撒ぜんぶまいてしまった。


「あにゃああ!! 新聞がー!!」


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