ブラックにゃんデー

ブラックにゃんデー



 新月の真夜中。


 静まり返ったはてな島に、異変が起きる。

 月明かりの無い暗闇くらやみに包まれた島に輝くのは、黄金色こがねいろ発光はっこうする数多あまた眼光がんこう


 その目はギラギラとするどく光り、理性を失った達は、「本能のまま」に行動する。



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 東外れの牧場。

 その一部分に、虹色にじいろの巨大な泡に包まれた空間が出来ている。


 いつもならば、凶暴化きょうぼうかした猫を寄せ付けない聖なるシェルターなのだが、今回のシェルターは所々に穴が空いている。


 彼らを守るはずだった、守り神が、『条件じょうけんたさない事で』力を発揮はっき出来ないでいた。




『――駄目だ、凶暴化きょうぼうかした猫を抑えきれない!』


『……が足りないからだ』

『俺たちだけじゃ無理だ! ここもやられちまう!』

『早く、早く、夜が明けてくれ……!』


『耐えろ、みんな耐えてくれ! ワンダフルもきっと助けに来てくれるから……!』


『あ!』


『――どうした、コマリ!?』

『マメが……あそこに!』


『駄目だ、コマリ! 今は近づいちゃいかん!』


『でも、マメがキャットタワーの方へ……!』

『なにっ?』

『マメ! ダメよ、そっちに行っちゃダメ!』


『コマリ、今のソラマメには、近づくな! ここから出てはいけないよ!』



『マメー!! ダメよ、行っちゃダメーー!!』






 その数分後。

 やみの中、光が中央広場からあふれ出す。


 その時、はてな島に住む正気を保てる猫が見たのは、虹色の光芒こうぼうだった。


 その一閃いっせんの光は地鳴じなりを伴い、多くの猫達の頭上を横切り、北の壁へと衝突しょうとつする。

 光は北の壁をぶち破いてもなお、力がおとろえる事なく、はるか先まで伸びていった……。



 すべてのものを破壊はかいしながら。





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 新月の夜は、はてな島最恐じまさいきょうの夜。


 理性を失った猫達の、恐ろしい狂宴きょうえんは、朝まで繰り広げられる……。

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