3-2
それから朝食を食べ終わって。
食器をシノおばさんの部屋にある大きなシンクへと運ぶ手伝いをする僕。
おばさんは持って来たお皿を、あわあわのタライに入れて、さっそく洗い出した。
今この部屋は僕とおばさんの二匹だけ。
僕は昨日からモヤモヤしていた気持ちを、こっそりおばさんに相談してみた。
――昨日の夜、シノおばさんには二匹がとかい島の猫である事は伝えた。
事情を聞いたおばさんは「良いわよ♪ うちに泊まりなさい。明日には二匹の部屋も作ってあげるわよ♪」と二つ返事で
……僕は二匹がはてな島に住むのはイヤじゃない。
ただ僕が面倒みろ! って言われている事にずっと
だって、ソックスも遠回しに僕へ押しつけているし、タマジロー先輩も病気になっちゃうし、ミケランジェロさんだってすごく嫌がっていた。
そんな彼らを見ていると、二匹のお世話をする猫はハズレ役の様に思っちゃったんだ。
コマリもハヤテも良い子みたいだし、コマリなんて僕に
「ねえ、おばさんはとかい島の猫のお世話が嫌だったり、怖くないの?」
と
すると、シノおばさんはうーん? と
「昔から、とかい島の猫は
「……!!」
「ね♪ だからマメちゃんもコマリちゃんも、私には同じよ♪ 私はお世話が好きだから、お世話するだけ♪」
とウインクするシノおばさん。
その言葉に僕のモヤモヤしていた気持ちが割れて、中からツルツルのゆで卵の様な気持ちが生まれた。
僕はそういう素敵な考えを持つシノおばさんが、大好きだ。
そして、心からシノおばさんと一緒の気持ちで接したいと思った。
そうだ。
僕は、はてな島の猫らしく、陽気でのんきな猫なんにゃ!
僕はコマリとハヤテが好きだから、二匹がここで不自由なく暮らせる様にお世話をするんだ。
そしてお世話する事がハズレ役だったとしても、今モヤモヤする事じゃない。
お世話をちゃんとしてからだ!!
それ以外は深く考えるのを止めた。
考えても、何も生まれないのにゃ。
(Φω<)ー☆
「今日は、ころころマーケットだ!」
再びウッドデッキへと戻ると、ソックスが待ちに待ったイベントの名前を、わざわざ口に出して言った。
「きょうわ、ころまーだ?」コマリがソックスの言葉を
それから、ソックスはハヤテを指差し、
「ハヤテ君には
……そう、ハヤテは学習能力が高い。
昨日、夜遅くまでソックスと一緒にはてな語を勉強していたらしいんだけど、五十音表があれば、二匹は言いたい事が通じる様になって来たらしい。
まだまだ、意味不明の所もあるらしいけれど。
一方のコマリは「オハヨ!」と「アイガト(ありがと)!」のみで……。
ま、猫にはそれぞれペースがあるのにゃ。
僕も勉強が苦手だから、コマリと一緒にゃ。
「マメも今日の仕事はころころマーケットなんだろ?」
「うん。また現地で会おうね」
と、僕は出勤時間になって立ち上がる。すると、一緒にコマリも立ち上がった。
「にゃ? コマリはここに居てね」
「そーよ。コマリちゃんは、おばさんのお手伝いをして欲しいわ♪」
コマリはしばらくの間、シノおばさんのお手伝いをすると、ソックスとおばさんと僕で勝手に決めたのだ。ハヤテはソックスが色々と聞きたいらしいので、しばらくはそのお相手。
「✕✕✕✕、✕✕✕、✕✕✕!」
「にゃ、にゃんて言っているの??」
ハヤテに何かを
「コマリ、シンブン、ツクリ、シタイ」
「……えーっ!?」
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