最終面接

 会場に着いた。受付の電話で人事を呼び出し、応接室に招かれた。30歳くらいの女性社員に、座るとすぐに

「早く来てもらってごめんね。もう面接始めても大丈夫かな。」

 と聞かれた。

「大丈夫です。」

 僕は笑顔で答えた。面接が始まり、色々なことを聞かれた。この会社は今まで受けてきた会社とは違い予想外の質問ばかりしてくる。知らない間に目に涙が溢れていた。あー、最悪だ。そこからはどうやって涙を流さずに持ち堪えることができるかということばかり考えていた。

 面接が終わると、先ほどの女性社員と少し話をしなければならなかった。そこでも涙目になってしまう。緊張したかどうかとか、上司にリラックスさせてあげてと言われたとかフォローをしてくれている様子だが、そんなことより早く帰して欲しかった。

「君なら、今受けてる会社も通るよ。」

 とか言ってきた。落ちたなってちょっと思った。けど、今まで企業研究も面接練習も努力したし、受け答えも頑張って答えられたと感じていたので期待は捨てられなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る