第一話:新人女神たち


「と言う訳で、私があなたたちの育成係となる女神ですわ」



 そう宣言する女神様は金髪碧眼の美少女で年の頃十五、六歳に見える。

 そして何故かこめかみの上に左右三つづつのトゲの様な癖っ毛がある。

 この女神様が運営する世界の女神の姿を借りているらしい。



 私の名前はテミア。


 今年女神学園を何とか卒業できた新人の女神。

 入社式も終わって教育期間兼新世界創世といういきなり重大な仕事を任される。



 マジですか?


 いきなり新世界創世って素人の私になんかできっこないって言うのにぃ~。

 でも目元をバッテンにしてアワアワ言っている私は次の言葉に顔をあげる。



「ですのであなたたち新人でも育成できるこのオーブを使って新世界の創世をしてもらいますわ」



「オーブですか? あの、素材の魔素をもらって最初からやらなくて良いのですか?」


「あなたは確か、ソミヤさんでしたわね? 流石にそれは新人の女神には厳しいですわ。ですので基礎プログラムの入ったこのオーブで世界構築をしてくださいですわ」


 育成係の女神様はそう言って私たちにオーブを一つづつ手渡してくれる。

 私はそのオーブを覗き込むと各種ステータスが浮かんでいた。


「基本プログラムは有るので既に天地創造は済んでいますわ。後は人間や亜人たちを出現させそのレベルやスキル、称号を育てて文明を発生させ、資源を有効活用させて発展をさせてくださいですわ。うまくいけば神々の評価も貰えますわ。そうですわね、まずは目標百ポイントですわ。総合での百ポイントいければその後の見込みもありますわよ」


 うーん、基本はもう出来ているのか。

 じゃあまずはジャイアント族でも発生させて……



「すみません、天地創造のコンセプトはどうしますか?」


「そこはお任せしますわ。定番の巨人が倒れ世界が出来たでも、あなたたち女神が降臨して天地を作ったでも、槍で海を突き大地を作ったでもいいですわよ?」


 あ~やっぱりソミヤちゃん優秀だなぁ~。

 そんなところ考えていなかった。

 なんであれだけ優秀なのにこの会社に入るかな?


「あのぉ~、他の神様の天地創造とかぶっても良いのですかぁ~?」


「規約に引っかからなければいいでしょうですわ。もし問題があれば運営から警告が来ますのでその時は修正をしっかりとしてもらいますわ。かなり出来上がった時点で修正を喰らうとそれはそれは大変ですのよ~」


 目元に影を作り育成係の女神様は「うふふふふふぅですわぁ……」とか言っている。


 過去に一体何が有ったと言うのだろう?

 ちょっと怖い。



「規約は見ました。それでは早速始めさせていただきます」


「はいはい~、それでは私も始めちゃいますねぇ~」


「え、あ、へぇ? ど、どうすればいいんですか!?」


 同期のソミヤちゃんとイズナちゃんはすぐにオーブに神力を注ぎ込み天地創造と女神降臨の逸話を書き込む。

 これで最初の神話が生まれ、その世界が始まるわけだけど……



「ああっ! どうするかなかなか決まらない! 創世神話どうしようぅ!!」




 私テミアは大いに頭を抱えるのだった。  


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