第3話 入院

翌日。


ケイ「おはよう!」


フェイ「おはよう。」


ケイ「昨日はよく眠れたかな?」


フェイ「眠れたよ、シルバの料理を食べてぐっすりさ。」


ケイ「そーかそーか、仲がいいのはいい事だな!それじゃあ今日もブリーフィングから開始しようか!」


フェイ「ああ、救世院への入院への手筈から考える。


救世院に入るにはジェイクが言っていたようにいくらか条件がある。


病気の者、問題を抱える者、自立した生活を送れない者などが概ねの特徴だ。」


ケイ「そう!救世院の名のごとくまさに救いを必要としている人じゃないと入れないわけだ。」


フェイ「そりゃあ、救世院だもんな。」


ケイ「そこでだ、フェイお前には面談の際にこう言ってもらう。


俺は抜けられない組織を抜けてきた。街に戻ればやつらに見つかって何をされるかわからない。これから生きていく場所も生活する場所もない、やつらに怯えながら暮らさなければならない、だからしばらく匿って欲しいと。」


フェイ「組織って公安部の事か?」


ケイ「そうだぜフェイ、公安部を裏切ればこの国に居場所はない。一生怯えて暮らすんだぜフェイ。」


フェイ「なるほどな、組織に追われている体で行くのか。わざわざ病気にならないでも済むわけだ。」


ケイ「お前がそうして欲しければ俺の必殺かかと落としでお前を救世院に直行してやってもいいんだがな。」


フェイ「それじゃ調査できないだろ?」


ケイ「それもそーだ、だから組織に追われてる体でいく。」


フェイ「なるほどな、大体分かった。


救世院に繋がる人間とはコンタクトは取れているんだったな?」


ケイ「ああ、向こうはこちらを公安部と知らない。だからただの問題を抱えた人を振舞ってくれ。」


フェイ「ああ、上手くいったら主演男優賞でももらえるか?」


ケイ「そうだな、上と掛け合ってみよう。」


フェイ「定期の報告はどうする?」


ケイ「この靴だ。靴底の中にノートとペンを一体にしてある。外に出れない時はこのノートに書いて、書いた物を指定の場所に置いてくれ。」


フェイ「分かった。」


ケイ「そしてもう片足の靴底には万が一のためにナイフが仕込まれている、使う機会がないのが1番だがいざと言う時には使って身を守ってくれ。」


フェイ「ああ、ありがとう。」


ケイ「それじゃ特に質問がなければ、救世院に繋がる人間とセッティングするが準備はいいか?」


フェイ「ああ、大丈夫だ。」


そうしてフェイは救世院と繋がる人間と落ち合い、救世院へと向かう事となった。


フェイ「どうもフェイ・カーンです。」


男「あなたがフェイさんですか、話しは聞いております。今回は救世院の助けが必要と言うことで向かいながらお話ししましょう。」


フェイ「ありがとうございます、そうしていただけると助かります。」


二人は馬車で救世院に向かった。


男「着きました。」


馬車を降りると救世院の入口へと向かった。


男は救世院のドアをノックした。


コンコン、コンコン


男「私です、救世院に御用の方を連れて参りました。開けてください。」


しばらくすると扉が開いた。


救世院の男「ようこそ、おいで下さいました。ここに来るまではさぞや大変な思いをした事でしょう。どうぞ中でおくつろぎ下さい。」


男の手に招かれると救世院の中へと入って行った。


修道院を改修したため聖堂がある。


ステンドグラスから差し込む光とロウソクの灯された聖堂は荘厳としてどこか仄暗い雰囲気を漂わせていた。


聖堂を抜けると、部屋へと通された。


そこに待っていたのは白髪混じりで小綺麗な法衣を纏った還暦を迎えようかという女性だった。


イドニス「ようこそおいで下さいました。私はこの救世院の院長を務めさせて頂いているイドニスと申します。


ここに来られるまではさぞや苦労なさった事でしょう。


話しながら私達でお力になれる事があればあなた様のお力にならせて頂きます。」


フェイ「ありがとうございます、私はフェイと言います。


抜けられない組織を抜けてから街で追われる身となってここに辿り着きました。


私には生活する場所も生きる場所もどこにもありません。


私を追うものに怯えながら暮らす毎日しかありません。


次の地が見つかるまでで構いません、それまで匿ってもらえたらいずれ必ずお礼はします!」


イドニス「いえいえ、お礼は必要ありません。


私達は修養者を預かる傍ら、生活の一環として生業を持っています。


ですからその生業に参加して頂ければお礼は必要ありませんし、生活にも困ることはありません。」


フェイ「ありがとうございます、何とお礼を言っていいか。九死に一生を得るとはこの事です。」


イドニス「いえいえ、いいのですよ。

私達は修養者として生涯を遂げる傍ら、私達が世界で行うべく使命を負っています。

それは救世、人の世を救う行いを使命としているのです。

あなたには救世院の中を見て回りながら救世院での生活と救世の教えについて話します。私に付いてきて下さい。」

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