47. いつもと違う?

47. いつもと違う?




 私たちは宿屋に戻り、ロデンブルグの北の山の中で発見された魔物の巣に向かうことをみんなに話した。そして翌日そのための準備をすることにする。


 私とキルマリアとリーゼは街に向かいアイテムや食料を買うことにした。リーゼは荷物持ちしてくれるので助かる。まぁキルマリアはただの暇潰しだと思うけどさ……。


「なんでキルマリアまでついてくるの?」


「ひどっ!あたしたちずっ友だと思ってたのに!」


「いや、だって準備をするだけよ?あなたリーゼみたいに荷物持ちしないじゃない」


「そりゃあそうだけど……でもなんかおもしろそーじゃん!」


 ほら、ただの暇潰しだよこいつ。私たちは必要なものを買い揃えていく。


「じゃあキルマリア、これお願いね」


「へ?なにこれ?」


「何って食料とかポーション類よ。あなたも持ちなさい」


「えー。めんどくさい……」


「いいから持って!持たないなら次は連れてこないわよ!」


「それはイヤだ!映えないし!」


「2人とも、なんで私よりお姉ちゃんなのに喧嘩してるんだろ~。ここ外だよ?」


 なんかリーゼに言われてしまった……。結局私が無理やり持たせたのだが、なんだかキルマリアがずっとブツブツ言ってたのは無視することにした。


 買い物を終えたあと広場で休憩をすることにした。キルマリアは張り切って飲み物を買いに行っている。本当に騒がしい奴だ。私は少し疲れたのでベンチに座って休む。


「ねぇねぇエステルちゃん。キルマリアちゃんがいると楽しいね!」


「楽しいというより騒がしいかな。でもまぁ退屈はしないよね」


「えー。でもエステルちゃん楽しそうだよ?」


 ……マジ?楽しくなくはないけどさ……。そんな風に思われてるのがなぜか気に入らないけど。そんなことを考えているとキルマリアが戻ってきた。


「あれ?どうしたの?」


「なんでもないわよ。うるさいわね」


「え?エステル姉さんなぜか激おこ!?あたしなんかした!?とりあえずこのベリージュースあげるから機嫌直してよ!」


 キルマリアから受け取ったジュースを飲む。うん美味しい。ちょっと落ち着いたかも。


「あのさエステル姉さん。もう買い物は終わったんでしょ?なら、あたしの買い物に付き合ってよ!」


「キルマリアの買い物?」


「なんか欲しいものあるのキルマリアちゃん?」


「マジ?あたしいつもと違くない?どんだけあたしに興味ないの2人とも?」


 うるさい。別にキルマリアなんかに興味ないわよ。というか早く行きたいんだけど……。早く宿屋に帰りたいし。


「わかったわよ。どこに行けばいいの?」


「やった!ありがとエステル姉さん!んじゃ行こう!」


 そう言ってキルマリアに連れられて歩き出す。しばらく歩くと一軒の防具屋にたどり着いた。


「防具?」


「もう!まだわかんないかな?トレードマーク!あたしのスカーフ!この前焦げたじゃん?今日は緑色でしょ?やっぱり赤じゃないと映えないし!」


 あんたはアサシンでしょ。映えるな。というか暖色系を選ぶな。少しくらい忍んだほうがいいわよキルマリアは。


「だから新しいの買いに来たんだよ。赤色のやつ!」


「ん~。それだったらこれなんてどうかな?」


 リーゼが赤い色のスカーフを見せてくれた。でも……キルマリアなら確かに似合うかもしれない。


「おぉ!めっちゃ良いじゃん!それにする!」


 決めるの早いわね……。まぁいいか。私たち3人はお金を払って店を出る。そして宿屋に戻ることにした。キルマリアは帰るや否や買った赤いスカーフを身につけて喜んでいる。


「ほらほら!見てみて!可愛いでしょ!映えてない?」


「はいはい。良かったわね」


「うぅ~。なんか冷たい反応だな~エステル姉さんは!ゲイルのおじさんやレミーナ姉さんはわかってくれるよね?」


「オレに聞くなよ」


「猫柄じゃないならどれも一緒です」


「ほらほら!みんな冷たくない?あたしの個性を大事にしてくれない!ぴえん!」


 お前は個性を主張するな。アサシンらしく静かに生きなさいよ。まったく……。


「私はキルマリアちゃんの赤いスカーフ可愛くて似合ってると思うよ!」


「おお~!リーゼ!心の友よ~!」


 キルマリアがリーゼに抱きつく。なんか微笑ましい光景だな。とにかく今は明日の準備をしないと。私たちはこうして明日の準備をしていくのだった。

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