12. いざ、ダンジョンへ

12. いざ、ダンジョンへ




 私たちは初めてのダンジョン攻略に挑む。ちなみにダンジョン攻略は普通のギルドの依頼よりは難易度が高いのでそれなりの報酬が期待できる。そしてクラン『妖精の隠れ家』の名声もあがる。


 今までダンジョン攻略をしなかったのは、たぶん私みたいな役割が出来る人がいなかったから。と偉そうに言ってみるけど、実際そうだと思う。


 もちろん優秀なパーティーには色々な才能があって適性があればスキルを習得している人もいる。例えば剣士だけど開錠のスキルを持っているとかね。


「よーし!あたしに続けぇ!」


「ちょっとキルマリア!ダメよ。隊列を組むわ」


「えぇ!?あたしが前じゃダメなの?映えないけどいいの?」


 映えは求めてない。というより『アサシン』のくせに先頭を歩きたいのはなぜ?意味が分からない。


「先頭は私とリーゼが歩くわ。私の後ろはキルマリア。リーゼの後ろはルシル。っで魔物が出たら私とキルマリアが位置を交換するわ。ルシルと私でサポートしましょう。」


「私はオッケー!魔物は私がたおしちゃうぞ!」


「ボクもサポート頑張ります!」


 それを聞いたキルマリアが私に真面目な顔で話してくる。どうしたのかしら?いつものキルマリアじゃないみたい。


「ねぇ……エステル姉さん?」


「どうかした?問題があるなら言って」


「……ふっふっふ。『アサシン』のあたしに背中を見せるなんて、すごいハートの持ち主だねエステル姉さんは?」


「……仲間だからね」


 どうしようもなくくだらないことだったわ。まったく何を言い出すかと思ったら……。でもまぁそれだけ信頼してくれているということよね。だったら答えないと。


「あはは。やっぱりエステル姉さんは面白いや。分かった。ここは従おう」


 何も面白くはないけど、キルマリアが珍しく素直になったところでダンジョン攻略を始めることにした。まずは一階層から探索していく。ここの一階層ではゴブリンしか出ない。


 ゴブリンとは亜人の魔獣の一種で人間よりも知能が低く本能のまま行動する低級モンスター。しかし集団になると厄介になる。なので慎重に進む必要がある。


「ねぇエステルちゃん。罠とかないの?」


「今のところは見つからないわね。」


「ゴブリン出てこないね」


「出ないに越したことはないわ。でも……この先にいるわ、おそらく2体。キルマリア前をお願い」


「あたしの出番ね!任せておいてよ!」


「あっずるいよキルマリアちゃん!」


「こら!勝手にいかない!」


 私の忠告を無視して、キルマリアとリーゼが勢いよく走り出した瞬間、曲がり角から2体のゴブリンが現れた。キルマリアとリーゼは一瞬驚くもすぐに態勢を整えて戦闘を開始した。


「へへん!こんなもん楽勝だよ!」


「へし折っちゃうぞ!」


 2人はゴブリンを倒すことに成功した。こらこら……もう少し慎重になりなさい。危なかったんだから……。


 すると今度は前方から3体のゴブリンが出てきた。またキルマリアとリーゼが突っ込みそうになったので私は2人を止める。


「待ちなさい!隊列が崩れるわよ!キルマリア!」


「ごめんごめん。つい興奮してさ!テンションあげあげだし!」


「もう。ルシル、神聖魔法で1体倒してもらえる?」


「あっはい!わかりました」


 ルシルは魔法を詠唱し始める。これで1体は問題なく倒せるはず。


「あとはルシルの魔法が発動したら、キルマリアとリーゼは一気に倒しちゃって」


「おっけー!まかせて!」


「分かったぁ!」


 そしてルシルの魔法が完成し、放たれた聖なる光はゴブリンを飲み込んでいく。その一撃でゴブリンを倒す。残りの2体はそのままキルマリアとリーゼが倒した。


「相手が複数の時は状況を見て動くこと。あのまま突っ込んでたら、攻撃されたかもしれないわ。後衛のルシルや私の魔法もあるけど、あなたたちを巻き込むような状況じゃ使えない。気を付けて」


「マジ先生みたいだよエステル姉さん……」


「あの数なら私が軽く首をへし折ったけど?」


「確かにリーゼの言う通りかもしれない。でも私が言ったようになるかもしれない。だからキルマリアは少し考えて行動して欲しいの。リーゼも冷静に判断してね」


「「は~い」」


 私たちはその後も順調に進んでいき、2階への階段を見つけた。2階からはコボルトという犬型の亜人が出現する。動きが素早いため、注意する必要がある。

 キルマリアとリーゼが前衛で敵を引き付けつつルシルが後方で神聖魔法で援護する。私はアイテムでのサポートがメイン。これが私たちの基本戦術。


「キルマリア!左から来るわ!」


「おっけい!」


「リーゼ!右に避けて!」


「うん!わかった!」


 私は【索敵】を使いながら指示を出す。今のところは順調だ。このまま行けば大丈夫そうね。そしてそのまましばらく探索をし、3階、4階と攻略し5階に降りる階段を発見した。


「よし!今日はここまでにして帰りましょう」


「えぇ!?まだ行けるけど?」


「私も全然問題ないよぉ!」


「ボクはエステルさんに賛成ですけど……。」


 キルマリアとリーゼはまだまだ元気そうだけど、戻るのには理由がある。だから私は説明をする。


「キルマリア。ギルドの依頼内容は覚えている?」


「7階層にいるゴーレムを討伐と10階層にあるメロウ鉱石の採取だよね?」


「ええ。じゃあダンジョン攻略で一番の目的はなんだかわかるリーゼ?」


「ん~……依頼の達成じゃないの?」


「半分正解ね。正確には依頼の達成と必ず無事に帰還することよ。単純に考えればこの依頼は10階層を往復するから20階層移動することになるわ。今は5階層。少なからず私は索敵やマッピング、罠の解除をしている。あなたたちもスキルを発動して魔力が消耗しているでしょ?だから今日は戻りましょ?」


「なるほど。今度はエステルさんがマッピングをしているから、ここまでは最短で来れますね!」


 そういうこと。ルシルは理解が早くて助かるわ。キルマリアとリーゼはまだ納得していない様子だったけど、しぶしぶ同意してくれた。そしてダンジョンを後にした私たちは、ギルドへと戻ったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る