ワルは萬年!!女子は爛漫!! (プロト版)
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第1話 まずはともあれ「ご”タイ”面」式
令和も二桁になった頃、桜咲く春を迎えたこの町の学校には新入生達が大勢いた。
今年も
玄歌話学園の一区画となり、文華町となりの八慶街は伝統ある名門私立女子校「
入学式の後に行われた二年生三年生による華やかな「ご歓迎会」は一流階級の華やかなガーデンパーティーを新入生達は優雅なひとときを楽しんだ。
二者二様の入学式から一週間後、玄歌話学園新入生達の全員が二年生の引率に連れられて白香春女学院に向かっていた。
両校は過去のいざこざの反省からお互いに交流を図っており、毎年春の新学期にはお互いの新入生達が対面して白香春女学院の中庭でガーデンパーティーを楽しむという行事があった。
玄歌話学園の生徒達が白香春女学院の正門までたどり着く、白香春女学院の敷地には白香春側の生徒達が整列し、玄歌話の生徒達を出迎える。
「ようこそいらっしゃいませ、玄歌話学園の皆様方。白香春女学院、新入生ご対面会へようこそ」
白香春の女生徒達がスカートの裾をあげ、礼儀良く頭を下げる。
玄歌話学園の生徒達は白香春の生徒達に案内され、中庭に向かう。白香春の少女達の美しい容姿、仕草に玄歌話の不良たちは男も女もドギマギしていた。
白香春の生徒たちが一人一人玄歌話の生徒たちを中庭のテーブル群に案内する
テーブルには白香春の二年生や玄歌話の一部の二年生が手伝ってガーデンパーティ用の飲み物や軽食を用意していた。さながら華やかな貴族のパーティの様相だ。
玄歌話の生徒たちが各々テーブルにつき、マナーを気にしないか、そもそもマナーを知らないのか、飲み物を手に取る。ジュースや紅茶、コーヒーなど各々が欲しいものを手に取る。
ステンドグラス輝く豪奢な校舎を背に白香春の二年代表と玄歌話の二年代表が乾杯の音頭を取る。
「我々、白香春女学院と玄歌話学園の交流会が始まり早くも12年。かつては入場チケット制の文化祭への玄歌話学園愚連隊「マンミーズ」の文化祭乱入騒動に始まり、事態収束後に起きた白香春と玄歌話の生徒全員を巻き込んだ6年間に及ぶ暴力抗争を經て私たちは和解し、せめて生徒たちだけでもお互いの理解を深めようとお互いに交流を行い、友情を育み、時に恋をし、愛を讃えあいました。」
「まぁ、その時にヤッたヤラないだの、妊娠しただの病気もらっただの、不純異性交遊の話も出るからな。するなら避妊しろよな」
玄歌話の代表生があからさまにセックスの話題を出す。玄歌話の生徒たちは笑い、白香春の女生徒たちは少し赤面を見せる。
「セクハラここまでにして、まずは乾杯だ。みんな、乾杯ッ‼︎」
皆共に乾杯とグラスを上げる。
各々が一口飲み物を飲むと、コミュニケーションが得意な者から順に近くの生徒に話しかける。
…………………
宴もたけなわに、白香春と玄歌話の生徒たちのわだかまりも解ける頃。数名の生徒がとある異変に気づいた。
「ねぇ、カケル様。あの会の看板がおかしくないですか?」
「え?あっよく見ると「ご対面式」の対が“タイ”ってカタカナ表記になってる」
「……お不良言葉で“タイ”?……まさかとは思いますが……」
「これから「ご“タイマン、ケンカ”式」でも始まるのかな?」
「タイマンってどういう意味ですの?」
「ああ、基本的には「一対一の素手のケンカ」って意味だ。この方式が一番男らしくて正々堂々したケンカってことなんだけどねぇ」
「まさか…… わたくし達が玄歌話の皆様と一人一人対決ですか?」
その時だった。スピーカーから一旦玄歌話学園の生徒と白香春女学院の生徒で集まるように指示が出た。
「こりゃいよいよ現実味が帯びてきたぞ……」
「本当に“タイマン式”を始めるのですか……」
玄歌話の生徒と白香春の生徒が分かれて集まると壇上に玄歌話の二年生と白香春の二年生が登る。玄歌話の二年生がマイクを口元に持っていくとスゥと息を吸い、話し始める。
「それじゃあ今から新入生対面式レクリエーション「ごタイマン式」を始めッぞ‼︎」
「ルールは簡単だ。これから基本的にお互いの学校のクラス順、出席番号順に1人ずつ呼び出すから呼び出された生徒は中央に今作っている格闘リングに上がってもらう。そこで総合格闘用のオープンフィンガーレスグローブを着用してもらい、一試合してもらう。
格闘スタイルは我流ケンカ殺法を始め空手骨法合気道等種類は問わない。
ケンカ殺法として武器を使用する者、剣道等の武器が得意な者は武器による戦闘を許可する。ただし武器はこちらで用意した殺傷力の低いスポーツチャンバラなどで用いられる安全な武器に限定させてもらう。
ルールは基本的になんでもありのバーリトゥード。目潰しも金的攻撃もルール内だ。敗北条件はノックダウンからのテンカウント、ギブアップ宣言、医務委員のドクターストップの三種類。いずれも判定を受けた時点で敗北とする。
なお自分のパーソナルとして喧嘩が苦手もしくはできない。相手との体格差や喧嘩経験の差で勝ち目がない、そもそも体が弱く喧嘩どころじゃ無いなどの理由がある場合は試合を辞退してもらって構わない。辞退した場合の扱いは基本的に相手に参戦意思があった場合は無条件で相手の勝利、双方共に辞退した場合は引き分け試合とする。
おおまかなルールはこんなところだ。では第一試合の生徒を呼ぶ。
玄歌話学園一年一組出席番号一番‼︎『相縄恵一』‼︎戦うならリングへッ‼︎白香春女学院一年一組出席番号一番‼︎『秋川菜女々』‼︎戦うならこちらもリングへッ‼︎」
双方共に呼び出された生徒はリングに登る。互いに戸惑いながらもリングに登り、お互いに一対一で顔を合わせると独特の緊張感、高揚感が込み上げる。
「……じゃあ秋川菜さん、一試合よろしく?」
「えぇ、じゃあお互いに頑張りましょう?」
お互いにオープンフィンガーレスグローブを手にはめ、自分の間合いまで近寄る。
「試合開始ッ‼︎‼︎」
彼ら彼女らが分かり合うための最初の行事が始まった。
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