その3 おやつタイム最高ぉおおおおお!!!

 コリネットおばさんは、私の友人だ。

 恰幅のいい方で、来る度に美味しいお菓子を食べさせてくれる。

 この時間帯になると、ちょっと小腹が空いてくるので、15時10分から『おやつタイム』にしている。

 だが、読者もご存知の通り。みなまでは言わない。

 昔懐かしいドアを叩くと、おばさんが満面の笑みで出迎えてくれ、テーブルの上にあるクッキーを私達に食べさせてくれた。

 体力がかなり消耗しているのか、腹が激ペコな私達は短い時間内で腹を満たそうと、これでもかと頬張った。

 本当は二時間ぐらい談笑したかったが、事件を無駄にする訳にはいかないので、完全に食べ終える前に別れを告げて馬車に乗った。

 と、その時、通りかかった警官二人がロンドンの博物館にある宝石を盗むと、あのアルセーヌ・ルパンからの予告状が届いた――という情報を耳にした。

 ルパンは誰もが知る大怪盗。探偵と怪盗は切ってもきれない関係。これには名探偵の血が騒ぐのか、ホームズは彼らから詳細を聞こうと馬車を降りようとしていた。

 そうなる前に、音声に向かって発車するように命じた。ホームズは危うく転落しそうになったが、私が持ち上げてどうにか大惨事にならずにすんだ。

 彼の歪んだ顔には『なぜ出発させたんだ!』と訴えているようにみえた。恐らく読者もそう思っているだろう。

 だが、安心してほしい。金儲け大好きな私がそんな大事件を逃す訳がない。

 実はこの日の最後の事件がそれなのだ。ただ依頼書によると、その裏ではあのモリアーティ教授が関わっているらしいとのこと。

 あの二人がタッグを組めば、ロンドンが恐怖の渦に陥るのは明白だ。なんとしても捕まえなければ──そう片隅に思いつつも、私の脳内をほとんど占めていたのは500万という成功報酬だった。

 どんな使い道をしてやろうかなどと考えている内に夕飯時になった。

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