第18話 祖父

 いろいろ迷ったあげく、私は、祖父の所へ行きました。ヒッチハイクで移動したのですが、びっくりした事に、今時には珍しく、長距離トラックの運転手が、私を乗せて、親切にしてくれました。ただの中年男性でしたが、疲れ切っていた私には、天使のようだった。


 祖母は、もう亡くなり独り暮らしでしたが、祖父は、生活力もあり頼りになる人でした。


 祖父は、考古学の愛好家であり、ジョンの趣味仲間でもあり、私は、その縁で、ジョンと知り合ったのです。


 再会した祖父が、ボロボロな私を見て、涙ぐみ、抱きしめようとしたときに、私は声を荒げてとめなくてはいけないことが、とても悲しかった。


 祖父に起きた事を話し出した時、祖父は、話をすぐに、とめさせ、ノートパソコンを持ってきて、記録を取りながら、私に起こった出来事を再び話させました。


 私が、全てを話し終え、石とジョンの遺体から出て来た生物の写真を見せると、祖父は、複雑な表情をしていました。


「信じがたい話だが、お前が、嘘をついているとは、とても思えない」


 と言いました。


 やっと信じてくれる人がいた。私は心底ほっとしました。


 そして、今度は、祖父が信じられない事を言い始めました。


「ほかに言いたい事は、山ほどある。しかし、お前の中にいるその化け物を止める手立てを早く何か考えなくてはならない。お前が話した事に対して、思い当たる事がある。ああ、そうか、有線でネットに繋げなくてはまずいのか……」


 石の力で、無線が繋がらないので、祖父は別室で、パソコンを有線接続して、何かを検索して、モニターを私に見せました。


 そこには、とても古いものだと思われる石板の写真が写っていました。いくつかの絵が描かれていて、何かの文字がびっしりと書かれています。そこには、簡略化されてはいましたが、間違いなくあの赤と白の石が三つ描かれていました。そして……


「これが、お前が見せてくれた石ではないだろうか。それから、ここに描かれている、独特な植物。緑色の茎、黄色い葉、紫や赤の花を咲かせている植物は、お前に取り憑き、ジョンや盗掘者を殺した生物ではないだろうか」


「これは……?」


 私は言いました。


「お前が話した通り、異変が起きているヌル遺跡から見つかったものだ」


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