GUNS'N SURVIVE ~ガンズンサバイブ~ EPISODE:0

麗主水=レイモンド=

プロローグ

 緑濃く茂る静寂の森の中。迷彩服姿の二人が足音を忍ばせ前進する。ゴーグルとフェイスガードで包まれた口元から微かな呼吸が漏れる。


 歩みを進めるたびに踏み付ける朽ちた枝の軋みを最小限に抑えつつ数メートル先の敵陣地を目指していた。


 両手には黒く輝くライフル銃を携え、辺りを警戒しながら先頭の男が敵陣手前の小屋へと辿り着くと、向かって右端の角に背を預け後方の女に合図を送る。建物の奥が見渡せる位置へ展開した女が特定の手信号を返す。


 敵発見の合図だ。


 建物の向こう側、約十メートル、十一時方向と敵位置を起用に手旗で送ると、詳細を把握した男がまた合図を送り三本の指を立てた後、ひとつずつ折る。最後の一本は折られることなく素早い動きでハンドガードに添えられ、同時に身を乗り出し敵へ狙いを定める。察知した敵は慌てながらもその方向へ銃口を向けようとするが時はすでに遅い。


 二人の連射が容赦なく敵を射止めた。



「いてててて!!ヒット!ヒットーー!!」



 戦場から少し離れた場所で歓声が上がる。勝利だ。二人は森に鳴り響くブザー音の中、ハイタッチをして勝利を称えるチームメイトの元へ向かった。




 日本で生まれたサバイバルゲーム、通称サバゲーは今や世界的にも人気を博し、アジアを中心に競技人口は増加傾向にある。

 近年ではFPSゲームが流行し、多くの若者がガンシューティングを身近に楽しんでいる。

 若者だけではない。古くは銀玉鉄砲から空気銃、ガスガン、電動ガンと進化を遂げてきたトイガンを、年代問わず人々は慣れ親しんできたのではないか。

 一方、発射体による物損や怪我などの安全面、土に還るまで四百年以上の年月を要すると言われるプラスティックごみの環境問題、いたずらによる動物虐待や海外での乱射事件など、銃に対するネガティブイメージも無視できない要素であることは間違いない。


 危険や問題を孕みつつも、その刺激性と重厚なる存在感で老若男女問わず多くの人を魅了する「銃」。


 これは、そんなトイガンをこよなく愛する少年少女達の物語である。

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