35. 付録-誤字・校正リスト

 わりと見かけるか紛らわしい誤字、表記ゆれのリストを示します。


 同音異義語の動詞の使い分けは公文書『「異字同訓」の漢字の使い分け例』が詳しいので、そちらを参照してください。

 表記ゆれの一部は『同音の漢字による書きかえ』が詳しいです。


 (誤字)→(正解)

 (候補A)/(候補B)

 (候補A)/(候補B)[表記ゆれ]


 常用漢字……漢字で書くことが多い文字です。

 新常用漢字……2010年から常用漢字です。読めない人もいるため仮名書きされることもあります。漢字検定2級にだいたい含まれています。

 常用読み……常用漢字の読みがリストに載っているものです。

 表外読み……字は常用漢字ですが、読み方がリストに載っていないものです。一部ではひらがな書きが行われます。

 人名漢字……人名用漢字です。新聞テレビなどではひらがなで書かれることもあります。小説では漢字で書きルビ振りをすることが多いです。

 第1水準……ここでは常用漢字人名漢字以外のJIS第1水準漢字です。

 第2水準……ここでは常用漢字人名漢字以外のJIS第2水準漢字です。

 第1水準漢字は漢字検定準1級、第2水準漢字は漢字検定1級が多いので目安にしてください。

 常用漢字による書きかえ……正確には当時の当用漢字による「同音の漢字による書きかえ」という文書で示されたものです。


あ行

■愛想を振りまく→愛嬌を振りまく

 愛嬌<あいきょう> 嬌 第2水準

■会う/合う/遭う/(逢う)

 会う……面会、対面

 合う……合致、一致、ちょうど、ぴったり

 遭う……遭遇。常用読み、漢検3級

 逢う……逢瀬。人名漢字

 「友達と会う」「偶然会う」「出会う」「立ち会う」「死に目に会う」「巡り会う」

 「趣味(・嗜好・好み・話)が合う」「答えが合う」「色(・サイズ・形)が合う」

 「落ち合う」「愛し合う」「好き合う」「溶け合う」「曲者だ、出合え出合え」

 「顔合わせ」「付き合う」「(槍を)突き合う」「目と目とが合う」「辻褄が合う」

 「被害(・痴漢・誘拐・遭難・宿敵)に遭う」「(危険な・ひどい)目に遭う」「夕立(・豪雨・災害)に遭う」

 「恋人と逢う(会う)」「出逢い」

■足元をすくう→足をすくう

 ×足元を掬われる

■味あわせる→味わわせる、味わわない

 味合わせる、味合せる

 「味わう」は語幹「味わ」のワア行五段活用

 カ行五段「書ク」→「書カナイ」→「書カセル」

 ワア行五段「言ウ」→「言ワナイ」→「言ワセル」

 同様に「味わウ」→「味わワナイ」→「味わワセル」

■暖かい/温かい

 暖かい……主に気候。⇔寒い

 温かい……お湯。液体。体温。⇔冷たい

 「空気が暖かい」「服が暖かい」「暖かい色の服」

 「温かい飲み物」「人が温かい」「懐が温かい」

■頭をかしげる→首をかしげる

 首を傾げる

■以外/意外

 以外……それのほかに

 意外……思ったのと違う、存外、案外

 「それ以外にはない」「赤以外の色」

 「意外に思う」「意外に美味しい」「意外と優しい」

■言っ(た)/行っ(た)

 言う……言った、言っちゃう、言っちまう、言って、言っとる、言っとらん、言っとった

 行く……行った、行っちゃう、行っちまう、行って、行っとる、言っとらん、行っとった

■以上/異常

 「俺以上にすごい」「以上、終わり」

 「あれは異常に強い」「状態異常」「異常事態」

■一応/一様

 一応<いちおう>……念のため、だいたい

 一様<いちよう>……全体が均一

 「一応できた」「一応寝ずの番をする」

 「一様分布」「一様に雨が降る」「ギルドで皆、一様に笑った」

■一同に会する、一同に集まる→一堂に会する、一堂に集まる

 慣用表現。お堂、講堂(建物)に集まる

■今だに→未だに

 「未だに現役を続けている」

 「未だかつて見たことがない」

■伺う/窺う

 伺う……会うの尊敬語、聞く。常用漢字

 窺う……様子を見る、探る。人名漢字

 「ご機嫌伺い」「明日お伺いします」「意見を伺う」

 「様子を窺う」「機会を窺う」「顔色を窺う」「表情を窺う」

■ウサギ/兎/兔/莵/菟[表記ゆれ]

 異体字が多い。表記ゆれ注意

 兎:常用漢字

 兔:異体字

■永遠と→延々と

 えんえん(えいえん)に「と」が接続されるときは「永延と」が正しいらしい。

■叡智/英知[表記ゆれ]

 叡智:人名漢字

 英知:常用漢字による書きかえ

■追う/負う

 追う……追跡 追わない

 負う……責任 負わない

 「敵を追う」

 「仕事を請け負う」「リスクを負う」

■○○負えない、○○(終、追)えない→○○を得ない

 おえない→をえない

 「○○ざるを得ない」「やむを得ない」「要領を得ない」

■抑える/押さえる

 抑える……抵抗する、抑制する

 押さえる……物理的に押す

 「敵の攻撃・侵攻を抑える」「反対勢力を抑え込む」「感情を抑える」

 「胸・頭を押さえる」「板切れを押さえる」「証拠を押さえる」


か行

■確立/確率

 確立……方法を構築する

 確率……%とか、割合

 「焙煎方法を確立する」「地位を確立する」

 「当選確率」「命中確率」「晴天確率」「ガチャの確率がいい」

■(にも)関わらず→(にも)かかわらず/(拘わらず、拘らず)

 拘:表外読み

 ひらがなにするのが一般的

■描き入れ時、掻き入れ時→書き入れ時

 慣用表現「書き入れ時」

■鍛治→鍛冶

 鍛治|(さんずい)……地名、人名

 鍛冶|(にすい)……刀鍛冶、鉄を鍛える仕事

■か所・か月・か国/[かけカケヵヶ個箇ゕゖ][月所国] [表記ゆれ]

 「2か月」「5ケ国」「3ヶ」

■恰好/格好[表記ゆれ]

 格:(一般的)常用漢字による書きかえ

 恰:人名漢字

 不格好、背格好、年格好、格好いい、格好つける

■乾く/渇く

 乾く……乾燥する。一般的

 渇く……喉が渇く。渇水

 「服・洗濯物・体・髪・川・空気が乾く」

 「喉が渇く」

■<かん>官/菅

 試験官……試験を監督する人

 試験管……test tube。実験器具、ポーション入れ

■<かん>感/勘

 感……幸福感、違和感、直感、絶対音感、感じる

 勘……勘違い、勘がいい、勘によると

 「感極まる」「感無量」「馬鹿にしている感」「グダグダ感」「これじゃない感」「(無線、電波が)感あり」

 「勘で避ける」「勘で動く」「勘が働く」「勘が告げる」「女の勘」「勘ぐる」「勘ぐり」

 その他「土地勘/土地鑑」「感づく/勘づく」

■[勘感]に[触障]る→癇に[障触]る

 慣用表現。類似に「癪<しゃく>に障る」もある

■感心/関心

 感心……いいなとか、すごいとか思う事

 関心……その事柄に興味を持つ事

 「感心感心」「感心しちゃう」「感心しない」

 「関心を持つ」「関心がある」「無関心」

■来た/着た

 来<く>る……Come、来<き>た、来ちゃう、来ちまう、来て、来とうない、来ま(す、した、せん)

 着<き>る……Wear、着<き>た、着ちゃう、着ちまう、着て、着とうない、着ま(す、した、せん)

 「電車が来た」「学校に来た」「遊びに来た」「来た人は拒まない」

 「服を着た」「下着を着た」「メイド服を着た」「着たきりスズメ」

 「メッセ/メール/電話/着信が来た」

 ※「到着」「着信」とはいうが「着<つ>いた」の意味であって「着た」ではない

 「勝負下着を学校に着てき(来)てみ(見)た」

■切欠→切っ掛け

 切欠……地名

 切っ掛け……発端、契機

■脅威/驚異<きょうい>

 脅威……おびやかす。危険

 驚異……おどろいた

 「敵国の脅威に晒される」「脅威を感じる」「脅威に思う」「自然の脅威」

 「脅威ではない」「脅威である」「脅威度が高い」

 「驚異の技術力」「竜は驚異的な力を見せつける」

■嬌声/(矯声)/歓声/はしゃぎ声

 嬌声<きょうせい>……えっちの喘ぎ声。子供の嬌声等は誤用

 歓声<かんせい>……応援、はしゃぎ声

 矯声……誤字。「矯正」の矯

■キレイ/綺麗/奇麗[表記ゆれ]

 綺:人名漢字

 奇:常用漢字による書きかえ

■奇跡/奇蹟[表記ゆれ]

 跡:(一般的)常用漢字による書きかえ

 蹟:人名漢字 印刷標準字体

■御者/馭者<ぎょしゃ>[表記ゆれ]

 御:(一般的)(常用漢字による書きかえ)

 馭:第2水準

 書きかえ以前から両方の表記あり

■燻製/薫製<くんせい>[表記ゆれ]

 燻:第2水準

 薫:常用漢字による書きかえ

■下剋上/下克上[表記ゆれ]

 剋:第2水準

 克:常用漢字による書きかえ

■○軒/○件

 軒……家、お店の単位

 件……用件、データ数などの単位

 「2軒の宿屋」「村には家々が20軒ほど」「3軒ハシゴをする」

 「1000件以上の検索結果」「今日の仕事は4件」

■懸命/賢明

 懸命……頑張る

 賢明……かしこい

 「一生懸命」「一所懸命」「懸命に努力する」「懸命に崖を登る」

 「無言の態度を貫いたのは賢明だろう」「賢明な判断だった」

■越える/超える

 越える……乗り越える

 超える……値を上回る

 「国境・山・山場・川・柵・塀・壁・段差を越える」「塀を乗り越える」

 「予算を超える」「人口が10万人を超える」「時価総額が過去最高を超える」

■<こう>侯/候

 侯(右に縦棒がない)……侯爵、諸侯、王侯貴族

 候(人偏の右に縦棒)……候補、天候、気候、兆候、候<そうろう>

■侯爵/公爵

 侯爵……そうろう侯爵

 公爵……おおやけ公爵

■個体/固体

 個体……個々のキャラクター

 固体……固体液体気体の固体

 「特殊個体」「個体固有のスキル」「個体値」

 「固体燃料ロケット」「氷は固体」

■籠もる/篭もる[表記ゆれ]

 籠:新常用漢字。筆者推奨

 篭:異体字

 籠<カゴ>、籠絡、籠手<こて>、引き籠り、籠める(込める)

■コミュ症→コミュ障

 コミュ症……一般的には誤字。症候群、症状ではない(固有名詞を除く)

 コミュ障……コミュニケーション障害の略


さ行

■自身/自信

 自身……該当人物その人。自分

 自信……有効であると確信を持つ

 「自分自身」「姫さま自身」

 「自分に自信がある」「自信過剰」「自信を喪失」

■事態/自体

 事態……そうなってしまった状態

 自体……自身

 「非常事態宣言」「やばい事態になってる」

 「本屋さん自体が見つからない」

■実態/実体

 実態……実際の状態

 実体……正体。物理的な体

 「幽霊の実態」「実態調査」

 「実体のある幽霊」「実体のない会社、ペーパーカンパニー」

■<しゃく>[杓尺酌釈錫]に[触障]る→癪に障る

 癪:第2水準

 慣用句「癪<しゃく>に障る」

 類似→「癇<かん>に障(触)る」

 「あいつの好きなようにさせるのも癪だ」

■駿[足馬]/俊[足馬][表記ゆれ]

 駿:人名漢字

 俊:常用漢字による書きかえ

■消息を断つ→消息を絶つ

 慣用表現

■蒸溜/蒸留[表記ゆれ]

 溜:人名漢字

 留:常用漢字による書きかえ

■人口/人工

 人口……人の住んでいる数

 人工……人為的なもの、工業製品的

■神託/信託

 神託……神の言葉、天啓

 信託……投資信託、財産の委託

■勧める/薦める/奨める/進める

 勧める……オススメ。勧誘

 薦める……オススメ。推薦

 奨める……オススメ。推奨

 進める……前に進むことができる

■<せい>性/姓/牲

 性……性別、性質、属性

 姓……苗字、氏

 牲……犠牲

 「同性/同姓」「異性/異姓」

■精魂/精根

 精魂……精魂込める、精魂傾ける

 精根……精根尽きる、精根尽き果てる、精根使い果たす

■草<ソウ>/<くさ>

 薬草<やくそう>、毒消し草<どくけしそう>

 癒し草<いやしそう><いやしぐさ>どちらか不明

 魔力草<まりょくそう><まりょくぐさ>どちらか不明

■曽/曾<そう> [表記ゆれ]

 曽……新常用漢字 簡易慣用字体 推奨

 曾……旧字 人名漢字 (印刷標準字体)

 木曾/木曽。未曽有/未曾有<みぞう>

 曽祖父/曾祖父<そうそふ>。曽祖母/曾祖母<そうそぼ>。曽孫/曾孫<ひまご>

■底を尽く→底を突く

 慣用表現


た行

■他○○/多○○

 他民族、他言語、他文化……他の。他民族による脅威。他文化への理解

 多民族、多言語、多文化……複数の。多民族国家。多文化共生

 他国、多国語、多国籍、多種族

■大儀/大義

 大儀……大儀中儀小儀の大きい儀式、おっくう

 大義……大きい道義

 「大儀である」「大儀であった」「大儀そう」

 「大義がある」「大義名分」「大義を掲げる」「大義のため」

■対して/大して

 対して……比較:歩行者に対して車は

 大して……それほど…ない:大して美味しくない

 大した……大した人間ではない

■対照的/対称的/対象(的)

 対照……すごく違う様子

 対称……シンメトリー、左右対称、点対称、面対称

 対象……ターゲットオブジェクト

■体制/体勢/態勢/大勢

 体制……仕組み、組織「国家体制」

 体勢……体の姿勢「防御の体勢」「倒れた体勢から起きる」

 態勢……対応「受け入れ態勢」

 大勢……全体の形勢「大勢に影響する」

■訪ねる/尋ねる/訊ねる(たずねる)

 訪ねる……訪問、訪<おとず>れる

 尋ねる……質問、問いただす、尋問

 訊ねる……問いただす、訊問→尋問 人名漢字(尋で代用)

 「家を訪ねる」

 「お尋ね者」「道を尋ねる」

 「お訊ねする」

■盾/楯 [表記ゆれ]

 盾突く、楯突く

 矛盾、矛楯

 新旧の関係ではないが、同じように扱われている

■たとえ/(仮令)/喩え/(譬え)/例え(ば)

 喩:新常用漢字

 譬:第2水準

 「たとえ~だとしても」→仮令  仮定。通常ひらがな

 「美女を百合に喩える」→喩える/譬える  比喩。他のことで表す

 「獣人は例えば犬耳族」→例えば  例示

■[球弾珠偶]<たま>に[傷疵]→玉に瑕

 慣用表現。白璧の微瑕

■試しがない→例がない

 例:表外読み

 前例がないという意味の「ためし」は「例」と書く

 ルビもしくはひらがな推奨

■使う/遣う

 使う……主に動詞。「(攻撃手段)使い」

 遣う……主に名詞

 仕える……従者

 「気を使う」「お金を使う」「道具を使う」「魔法使い」「使いの者」「お使い」「剣使い」「弓使い」「御使い」「魔物使い」「ルーン使い」

 「気遣い」「無駄遣い」「上目遣い」「息遣い」「現代仮名遣い」

■掴まる/捕まる/捉まる

 掴まる……手で握る

 捕まる……拘束される、逮捕、監禁

 捉まる……引き止められる

 「手すりに掴まる」

 「盗賊・衛兵に捕まる」

 「渋滞に捉まる」

■壺/壷[表記ゆれ]

 壺:第1水準漢字。印刷標準字体。推奨

 壷:第1水準漢字。異体字

■適用/適応

 適用<てきよう>……能力ルールなどを反映する

 適応<てきおう>……環境などに合わせて進化変化する

 「ルールを適用する」「補正値を適用する」「スキルを適用する」

 「環境に適応した」「状況に適応する」「移住した町に適応する」

■適性/適正

 適性……向いている。適している性質

 適正……正しいこと。適当であること

 「(魔法、属性、物理、職業、スキルに)適性がある」「職業適性審査」

 「適正な評価を下す」「適正価格」「適正レベル」

■つい/つち/槌/鎚

 槌……木のつち 人名漢字

 鎚……金属のつち 第1水準漢字

 使い分けられている場合もあるが、同一視して槌で統一する場合もある

 木槌/木鎚、相槌/相鎚

 金鎚/金槌、鉄鎚/鉄槌

■務める/努める/勤める

 務める……任務

 勤める……勤務

 努める……努力

 勉める……努力(表外読み)

 「生徒会の仕事に務める」「会社に勤める」「一生懸命、遠征に努める」

■通り/道理

 通り<とおり/どおり>……変わらない状態であること

 道理<どうり>……理由に納得した時、理にかなっている

 「その通り」「相手の主張通り」「予想通り」「思った通り」「今まで通り」

 「道理でおかしいと思った」

■特製/特性

 特製……特別製

 特性……特徴的な性質、特殊な性質

 「特製カレー」「特製のポーション」「特製の剣」「俺特製」

 「種族特性」「魔法特性」「職業特性」「女子寮の特性上」

■取り合えず→取り敢えず(とりあえず)

 敢:表外読み

 副詞なのでひらがなにする人もいる


な行

■内蔵/内臓

 内蔵……脱臭機能内蔵。機械など

 内臓……臓物<ぞうもつ>。五臓六腑

■二/ニ

 二:漢数字

 ニ:カタカナ

 見分けにくく読みも同じなので非常に間違えやすい

■匂い/臭い

 匂い……いいにおい

 臭い……不快なにおい。くさい(臭い)

 ただし「くさいにおい」は「臭い臭い」になってしまう

■伸びる/延びる

 伸びる、伸ばす……まっすぐ⇔縮む

 延びる、延ばす……延長、遅れる

 「(身長・髪・猫・飛距離)が伸びる」「絵の具を伸ばす」「休憩で足を伸ばす」

 「期限(・試合・寿命)が延びる」「鉄を延ばす」「延べ棒」「旅行で足を延ばす」「延べ人数」


は行

■履く/穿く

 履く……履物、靴の類

 穿く……パンツなど下半身に通す(穿つ)もの。人名漢字

 「靴、ブーツ、ヒール、下駄を履く」

 「パンツ、ズボン、スカート、レギンス、靴下、足袋、ガーターベルト、タイツを穿く」

 「剣をはく(佩く)」

 「手袋をはく」方言→「手袋をつける」「手袋をする」

■始め/初め

 始め……開始、begin、start、「始める(動詞形)」

 初め……最初、一番目、first

 「始めの言葉」「新しいことを始めた」「野菜はキュウリを始め、ニンジン、キャベツなど」「仕事始め」「やり始める」

 「初めての経験・体験」「初めまして」「生まれてから初めて食べた」「初めに手を洗い、次に野菜を切る」「(本の最初)初めに」

 定型句「年の初め」「姫初め」「書き初<ぞ>め」

■罰が悪い/罰の悪い→バツが悪い

 バツは「場都合」から

■<はな>鼻/洟

 鼻……はな、nose

 洟……鼻水 第2水準

 「鼻くそ」「鼻が高い」「鼻の穴」

 「洟をすする」「洟垂らし」「洟をかむ」ひらがなorルビ推奨

■<はん/ばん>板/版

 板……いた。ボード

 版……はん。印刷用の版木、活版

 「掲示板」「依頼板」「黒板」「クエスト板」

 「木版画」「初版」「翻訳版」「アニメ版」「日本語版」「ベータ版」

■ひと段落→いち段落

■瓶<ビン>/<かめ>

 カメ(甕)とも読むため、ルビがないとビンなのかカメなのかは不明

 ガラス瓶と陶器のカメではだいぶイメージが異なる

■<ふち>淵/渕/渊

 淵……人名漢字 印刷標準字体

 渕……異体字

 渊……異体字

■振る/降る

 振る……スイング

 降る……落ちてくる

 「剣を振る」「話を振る」「彼女を振る」「首を振る」「ステータス値にポイントを振る」

 「雨・雪が降る」「女の子が降ってきた」「植木鉢が降ってくる」

■へ/ヘ

 へ:ひらがな

 ヘ:カタカナ

 固有名詞などでカナのはずがひらがなになっていることがある

■<へん>篇/編[表記ゆれ]

 篇:人名漢字

 編:(一般的)常用漢字による書きかえ

 篇/編……短篇、長篇、掌篇、前篇、後篇、中篇、続篇、総集篇

 編……編集、編纂、編成、編隊、編入

■保障/補償/保証

 保障……権利や安全を守る

 補償……償う。受けた損害を回復させる

 保証……結果を請け負う

 「自由を保障する」「権利を保障する」「社会保障」

 「損害賠償の補償」「洪水被害の補償を受ける」

 「保証人」「保証書」「俺が味は保証する」

■堀/掘る(掘り)

 堀(土偏)……(構造物)お堀

 掘り(手偏)……(動詞)地面に穴を開ける

 「堀」「水堀、空堀、外堀、内堀、中堀」

 「穴掘り」「レア掘り」「宝掘り」


ま行

■魔方陣→魔法陣

 多くの場合魔方陣は誤字

■眉をしかめる→顔をしかめる、眉をひそめる

 「しかめる」「ひそめる」ともに「顰める」と書く

■<まれ>稀/希[表記ゆれ]

 稀 人名漢字

 希 常用漢字による書きかえ

 希少/稀少、類稀/類希

■周り/回り(回る)

 周り……周辺

 回り……回転する、一巡する

 「家の周り」「周りを見渡す」「湖の周り」「周りの人の注目を集める」

 「近所回り」「挨拶回り」「一回回ってワン」

■耳触り/耳障り

 耳触り……耳にタッチした感触

 耳障り……うるさい

 「猫獣人のケモ耳は耳触りが最高」

 「陰口の耳障りが悪い」「噂が耳障り」

 本来の意味では「耳障りがいい」は誤用

 「耳触りがいい」は微妙なところ

■向かい入れる→迎え入れる

■最も/もっとも(尤も)

 最も……一番

 もっとも(尤も)……だが、しかし、その通り。人名漢字。通常はひらがな

 「この世界で最も強い冒険者の一人」

 「最も好きなアイスはクッキーアンドクリーム」

 「もっと(尤)もそれを達成するのは困難だろう」

 「あんたの主張ももっと(尤)もだ」


や行

■辞める/止める

 辞める……辞職、退社、卒業

 止める……中止 表外読み

 「冒険者を辞める」「仕事を辞めて無職に」

 「うるさく言うのはや(止)める」「とめる」「とどめる」とも読めるため注意

 「頑張るのをや(止)める」「工事をや(止)める」

■用/様/よう

 「明日のお弁当用」「足りないとき用に準備しておく」「用がある」

 【様だ】という用法は通常ひらがな

 「うれしいよう(様)に見える」

 「好きなよう(様)にする」

 「準備体操するよう(様)にしてください」

 「結婚したよう(様)だ」

■要件/用件

 要件……必要な条件。重要な用件

 用件……用事の内容

 「プログラムの要件定義」「ギルド員になれる要件」

 「用件はなんですか」「用件を伝える」「用件を聞く」


ら行

■<ろく>[禄緑録]→碌、陸

 碌……(当て字)碌でもない/碌な(こと)/碌に/碌すっぽ

 [禄緑録]……誤字

■<れき>暦/歴

 暦……こよみ。新暦、旧暦、西暦、太陽暦、太陰暦、王国暦、ユリウス暦

 歴……歴史、経歴、歴然、歴戦、学歴、彼女いない歴、逮捕歴、犯罪歴

■露店/露天

 露店……野外の商店。出店

 露天……屋根がない

 露天商……露天でする商人、商売

 「露店で買い物をする」

 「露天風呂」「露天掘り」


わ行

■<わざ>技/業

 技……技術

 業……仕事

 「技を磨く」「離れ技(体操)」「神技|(ゴッドスキル)」

 「至難の業」「なせる業」「離れ業(仕事)」「神業」「荒業」「仕業」


■定型句の言い回しはググるか各種辞書で確認

 ついでに意味、誤用の確認もするのを推奨

 検索時に末尾に活用形がある場合は注意

 「が/は/の/に」など途中の助詞の違いも検索時は注意

 ・活を入れる、喝を入れる

 ・底を突く

 ・琴線に触れる


■熟語、四文字熟語もググるか各種辞書で確認

 漢字の正誤チェック

 ついでに意味、誤用の確認もするのを推奨

 ・青天の霹靂へきれき

  ×晴天

 ・画竜がりょう点睛てんせいを欠く

  ×晴→睛

  ×描く書く→欠く

 ・危機一髪

  ×危機一発


■簡易慣用字体が新常用漢字になったもの

 常用/簡易慣用字体:曽

 旧字/印刷標準字体:曾


■異体字リストJIS第1第2水準(推奨)

 常用(簡易):麺/痩

 常用の異体字:填頬/剥(叱)

 人名(簡易):祷

 簡易:鴎繍蒋醤蝋

 簡易:唖噛鹸麹掻/屏并

 印標の異体字:侠焔蝉箪掴顛莱/倶呑繋

 印標の異体字:躯屡騨涜嚢溌醗攅/嘘妍


■異体字リストJIS第3第4水準(非推奨)

 常用の異体字(印標):麵/瘦

 常用(印標):塡頰/剝(𠮟U+20B9F)

 簡易の異体字(人名/印標):禱

 簡易の異体字(人名/印標):鷗繡蔣醬蠟

 簡易の異体字(印標):啞嚙鹼麴搔/屛幷

 人名(印標):俠焰蟬簞摑顚萊/俱吞繫

 __(印標):軀屢驒瀆囊潑醱攢/噓姸

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