8. 数字、単位

横書き、縦書き

 C1.文章全体を通して、数を漢数字か算用数字かを統一する。

 C2.横書きでの数値表現は算用数字を採用し半角で記述する。

 C3.横書きでの英単語などは半角文字を使用する。

 C4.縦書きまたは出版を考慮したい場合は算用数字を避け、漢数字での表現に統一する。

 C5.熟語など1つの単語とみなせる場合は、算用数字は用いずに、漢字表記に統一する。

 D7.横書きでは半角の「,.」は半角数値の位取りと小数点として使用する。

 D8.縦書き、出版を意識した場合は漢数値の3桁ごと位取りをした場合及び概数の区切りには「、」を使用し、小数点には「・」を使用する。


 算用数字(アラビア数字)は「1234567890」です。1を見れば分かるように横書きでの視認性に優れています。

 欠点としては単独では桁を数えないと読み方が分かりません。

 半角では小説家になろうではワードラップされます。一部サイトではワードラップされません。

 全角ではワードラップされず、次行に折り返されると読みにくい問題があります。


 漢数字は「一二三四五六七八九〇」「零」及び「十百千」「万億兆京垓」です。

 特に「一」で他の文字も横棒が多く、縦書きでの視認性に優れています。



 算用数字、漢数字の使い分けに関して、半分は縦書き対応のためです。

 というのも、縦書きの場合、半角幅で記載した数字は横倒しになることがあります。

 しかし、VRMMO、異世界ファンタジーにとって半角でのステータス表記は命でもあります。

 そこで、出版を見据えて「漢数字」に統一するか、なろうの横書きを前提、許容して「算用数字」を採用、併用するか作者自身が判断する必要があります。

 また具体的な数値の場合に、3桁ごとの位取りをするか否かも決めて統一するといいでしょう。


 近年、縦書きでも算用数字のまま出版、電子出版するというのも、まま見かけるようになっています。あまり気にしなくてもいいのかもしれません。

 なお縦書き算用数字は新聞で多用されています。


 数字の表記に関して、新聞社や出版社でも、その基準はかなりバラバラです。

 ここで書いたものも一例であり、他の基準がある会社団体もあります。

 またステータスの数値やレベル、金額、日付に限定して算用数字を使うような場合もあります。


 算用数字を採用したとしても「一単語」とみなすもの「慣用句」のたぐい「固有名詞」で漢字になっているものなどは、漢字で書きます。

 逆に縦書きでも「A4用紙」「ビタミンB1」「4LDK」「H2O」「H3ロケット」のように、固有名詞などで通常算用数字で書き表すものもあります。


 算用数字を使う場合、どこまでを算用数字で書き、どこから漢数字を使うかは、吟味してそのつど決める必要があります。

 けっこう判断に迷うこともあります。


 「二百四十八」のようなものを「単位語あり」といい、「二四八」と書くのを「単位語なし」とたぶんいいます。読みやすいほうを適度に選択してください。

 単位語ありのフルで書く場合は「二百二万三千四百五十六」となります。

 細かい数値の場合は「千百十」を省いて「二〇二万三四五六」のように「京兆億万」のみ記載する場合もあります。

 そして桁の文字を書かず洋風に「区切り文字」=「位取り」の読点を入れる「二、〇二三、四五六」という書き方をすることもあります。


 稀に「五万四、三二一円」のようにチャンポン表記も見られますが、非推奨です。

 他にも万と位取りを合わせて「三、〇〇〇万円」のような表記をする人もいます。これも人によっては賛否が分かれることがあります。万で切れていれば違和感は特にありませんが、万より下の桁まで併記すると微妙です。

(ただし2022年の公用文作成の考え方では「1億2,644万3,000人」という例が出てきます。判断はご自分でしてください)



 算用数字の場合も「京兆億万」を記載する場合があります。

 具体的な数字のとき「202万3456」「2,023,456」のように書き、やはり「千百十」はあまり使いません。

 大きい数字は「1億2千万」「300万円」のようには書くようです。


 算用数字を採用していても、範囲やだいたいの数などの概数を書く場合には「二、三百円」「数百円」「百数人」「十三、四人」のように漢字で書くのが一般的のようです。特に「数100円」「100数人」という書き方はあまりしません。

 「数人」「数百」などの概数の示す具体的な値の範囲には、個人の感覚にかなり差があることが知られています。

 数百人の場合、200~300人なのか、200~400人なのか500~600人なのか、などなどです。


 概数は「小さい数値から書く」というお約束が一応あります。「3、4人」と書きますが「4、3人」とは通常書きません。

 微妙なのは「9、10人」で読みが「きゅうじゅうにん」では「90人」と同じになってしまいます。小説上では気にする必要はありませんが、違和感はあります。「9から10人」などのようにするといい場合もあるでしょう。


 「にさんびゃくえん」は「2、300円」だと区切り文字の「2,300円」=「2300円」と紛らわしいので非推奨です。「200~300円」「二、三百円」のようにするなど工夫してください。ただし小説ではあまり範囲を表す「~」は使わないことになっている場合もあります。

 「4、5千円」「家賃7、8万円」「二、三億人」などのように書くことはできます。

 「2、3点」(にさんてん)を「2.3点」「2,3点」「2,3点」「2・3点」のように書くのは非推奨です。「にいてんさんてん」と小数点として認識されてしまいやすいです。

 「二、三人」(にさんにん)を読み通りに続けて「二三人」とするのも「二十三人」に誤読されるので非推奨です。


 部分ごとのサブタイトルでは「単位語なし」か算用数字を推奨します。

 めでたく長く連載が続くと単位語ありだと「二百三十四話」とちょっと長くて読みにくくなってしまいます。「234話」「二三四話」のほうがシンプルです。微々たるものではありますが、わりと気になります。

 出版物の本でも、本文中でのページ番号の記載などは、単位語なしで書かれることが多いです。

 単位語なしのときは位取りで下位桁を埋めるのに「〇」を使います。


 同様に4桁の西暦年は算用数字で書くか、漢数字で書くときは特に「二〇二〇年」のように単位語なしで書くのが一般的です。


 ▼▼▼例

 1つ。2、3個。 一つ。二、三個。五、六千円。

 1万2345円。12,345円。23万円。3.141592。

 一万二三四五円。一二、三四五円。二三万円。二十三万円。三・一四一五九二。

 

 300Mゴールド。三〇〇Mゴールド。三百メガゴールド。

 二人三脚。四足動物、統一、第一人者。百人一首。

 一度、一員、一覧、一番、一部、一緒、一般、一杯、十分、十二分。

 ▲▲▲


 ちなみに一般的な文章の場合「ひとり」「ふたり」「ひとつ」「ふたつ」はひらがなで書くことが推奨されている場合があります。

 小説ではそれに順守する必要はありませんが、新聞や雑誌などがひらがなになっている場合は、そういうことです。


 また「一月」では「いちがつ」か分からないので「ひと月」のように書くこともあります。

 同様に「いちユーザー」「いち段落」のように漢数字だとわかりにくいときも、ひらがなにする場合があります。

 「コーヒー一杯」のように長音と漢字のイチが並ぶ場合、横書きだと微妙に気になります。同様に「コーヒーいっ杯」では変な感じですし「コーヒーいっぱい」では沢山と誤解されそうです。その点「コーヒー1杯」は横書きでの視認性は高いです。「コーヒー、一杯」と読点も有効です。


 「0時」などは大丈夫ですが、漢数字で「〇時」「〇度」だと、伏字の「○時」「○度」と混同しやすいため、桁の途中ではない任意のゼロ、レイは「零時」と漢字で書くと、間違いがありません。

 他にも「零度」「ゼロ度」や「可能性はゼロではない」のように書くこともできます。

 ただし新聞では数値表現では零を使わず〇に統一するルールになっているようです。

 ちなみに下の桁埋めの場合「一三〇円」などを「一三零円」と書くのはおかしいです。


 漢字のレイ「〇」とマル「○」大きなマル「◯」は非常に似ているフォントがあります。

 しかし異なる文字なので、変換の際には注意しましょう。

 「三〇〇円」が「三○○円」のようになってしまっているものを稀に見かけます。


 上の例で示しているように「小数点」は縦書きでは「中黒、中点なかてん(・)」で書きます。

 旧ルールで小数点は『「.」または』となっていましたが、これはなろう上の横書きでの併用を念頭に入れたもので、縦書き前提では「.」は使いません。

 小数のとき1未満で、整数部がゼロのときも「〇・一二五」「〇・〇三」のように「〇」を使います。



 算用数字、英字は横書き前提なら半角が基本です。

 横書きでASCIIで表せるものはASCII文字を使うという、指標があります。

 ただし全角空白、心情の()丸括弧、全角チルダ~、和文では句点は,.!?ではなく、。!?など例外もあります。


 小説ではありませんが、2020年に朝日新聞デジタルでも英数字が半角に変更になり話題になったことがあります。※1


 他の一部サイトなどで、縦書きで算用数字を横倒しにしたくない場合は、全角で書くこともできます。

 小説家になろうの縦書きPDFでは、半角数字は全角化されて縦に1文字ずつ並べられます。



 縦書き算用数字では、横書き「1,234人」は縦書き「1、234人」のようになります。縦書きでは、位取りのカンマは全角カンマではなく読点を使います。


 なろうではできませんが、算用数字で縦書きのとき、2桁の数字を半角にして「縦中横たてちゅうよこ」という方法で横に2文字並べる処理をすることがあります。

 場合によっては3桁でも縦中横にします。

 それ以外の桁数は全角で縦に一字ずつ並べるのが一般的です。もちろん桁数によらず半角で横倒しにする場合もあります。

 正立、横倒しの制御ができるなら、全角にせず、半角のまま正立処理することもあります。

 自動処理するサイトもありますが「12,345円」の「12」だけが縦中横になることがあります。



 「一箇月」「三か国」「四か所」などについてさまざまな表記が見られます。

 「箇、個、か、カ、ケ、ヵ、ヶ」があります。

 このうち2022年現在、いちばん広く使われているのは「箇」と「か」です。

 一般文書では「一ヶ月」などの表記も多くみられます。

 漢字では本来「箇」を使います。箇は1946年の当用漢字に含まれる字だったのですが将来的に削除される予定の字として挙げられていた特殊な漢字です。そのため「同音の漢字による書きかえ」に準じて「箇→個」として新聞テレビ等では広く使われてきた歴史があります。

 NHKではひらがな表記が採用されていたそうです。※2

 公用文においては漢字表記の場合には「一箇所」算用数字を使う場合には「1か所」のように書くという変則ルールとなっています(2022年『公用文作成の考え方』)。

 また「数箇所」「変更箇所」「その箇所」のように数字以外に続いて出てくる場合には、多く漢字を用います。




 単位について。

 小説の縦書きの書籍ではSI単位系半角ASCII「cm」「km」「kg」や、組文字「㌢」「㌔」「㎝」「㎏」、単位記号「℃」「°」などは使用せず「センチ」「センチメートル」「キログラム」「度」と普通のカタカナ、漢字を使用することが多いです。

 特に縦書きで英語が横倒しだとcmなども横倒しになってしまいます。

 新聞等では算用数字と共に紙面の節約などのため組文字を使っています。

 カタカナで書くか単位記号などにするか、どちらかに可能な範囲で統一するといいでしょう。




※1 2020年01月26日『朝日新聞デジタル、英数字をついに全角から半角へ 広報「特に全角表示にこだわっていたわけではない」 - ねとらぼ』

 https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2001/26/news018.html


※2  [カショ]表記 | NHK放送文化研究所

 https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20150901_2.html


※3 2022月6月6日 一部漢字の「二」がカタカナの「ニ」になっていたのを修正しました。

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