第6話

「何用だ。」


デスムス王は玉座の椅子にもたれ掛かり、頬杖を突き、重低い声で訊いた。


「おぉ、これはこれは王よ。背中にでも目がついているのかい?」


真後ろに位置するロイヤルは驚きを隠しながらも冗談を言った。


「斬るぞ。お前がこのばを立ち去らないというならば…」


デスムス王は右脇にある刀に手をかけ、鞘からその刀身を覗かせた。

ロイヤルの左頬に冷ややかな汗が伝う。

一方アイスは、玉座の間からの展望を楽しんでいた。


「もし王がそれを乱暴に振りかざすというなら衛兵君の安全は保障されないね。」


「ぐっ、かはっ!」


玉座の間の窓に先程の衛兵が映る。

衛兵は細い細い糸で首からつられ、足をじたばたさせていた。


「人員を一人でも失いたくない今、この子の命は王にとってかけがえのないものではないだろうか?」


「ふん、先程、軍との連絡が途絶えたのはその為か。そこの命も、仲間の敵を討てるなら本望だろうよ。」


デスムス王は左手に剣を構え、臨戦態勢を解く様子はない。

ともすれば、ロイヤルごとその衛兵を斬る構えだった。

アイスと衛兵を抱えたロイヤルは一歩も引けない。

王がすべてを薙ぎ払うのが先か。

ロイヤルがデスムス王の首を刈り取るのが先か。

二人の間に緊張が走る。

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