私と猪狩くんは恋に落ちました

ねぇねぇ。

最近さ、猪狩くんあんまり寝なくない?

いや、別に私としては嬉しいけど。

どうしたの?

ふ〜ん。

なんでもないか。

「なんでもない。」って言う人に限って、なんかあるんだよな〜。

ま、まさか。

好きな人でもできたの!?

誰?

なに?

そんな人いないって。

そんなはずは無い。

だって、人間恋をすると綺麗になるっていうじゃん。

かくいう私も、猪狩くんに恋をしてからというものこのめちゃくちゃ可愛い美貌を維持していますし。

ね?教えて。

私も教えてあげるから。

私の好きな人は…。

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜。

知ってるの?

なんで?

私、いつ猪狩くんが好きっていったけ?

あっ、言ったかも。

あれは、感動すべき日。

私が始めて猪狩くんに恋をしたあの日。

あの日、あの時、あの瞬間に、私達の恋の始まりの鐘が鳴ったのだぁぁぁぁぁぁ〜。

なに?私達じゃないって?

えっ、私達でしょ?

あ、わかった。

猪狩くんも可愛いですね。

ちゃんと名前で、読んで欲しいんでしょ。

いいよ。

じゃあ、もう一回行くね。

よーい、スタート!

あの日、あの時、あの瞬間に、私と猪狩くんの恋の始まりの鐘が鳴ったのだぁぁぁぁぁぁ〜。

え、違うって。

そっか!わかった!

私の魅力が伝わってないっていうことだね。

オッケ〜〜〜〜〜!

それでは、テイク2。

よ〜い!スタート!

あの日、あの時、あの瞬間に、超絶かわいい私と猪狩くんの恋の始まりの鐘が鳴ったのだぁぁぁぁぁぁ〜。

ん?

違う?

「何度言えばわかるんだ。」って。

そんなに、私の魅力を分かってくださっているのですね。

うっれしぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜!

それではテイク3!

よ〜い!

ん?

なんで止めるんですか?

私は猪狩くんのお望みを聞こうと。

え。

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜。

なに?え、どういうこと!?

私と猪狩くんじゃなくて。

恋に落ちたのは私だけって事ですか。

ショックです…。

あの時は、「好き。」って言ってくれたのに。

いいですよ。

そういうんなら、絶対に惚れさせて見せますから!

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