第46話



 「待ってろ、今すぐ出してあげるから」


 我を忘れてコミネは叫びながら、ガラス張りの部屋の扉を探す。

後ろから誰かが近づいているとも知らずに。

不意に、近づいてきた人物に押さえつけられる。


「先生、扉を開いてはいけません」


コミネは、


「うるさい、その汚い手をどけろ」


と叫ぶがその人物に投げ飛ばされる。


「モトキ、お前は何をやっているのか分かっているのか」


「先生には分からない。オオサワ先生の娘は末期の腫瘍にかかっていたんだ。それを治すにはオオサワ先生の作った遺伝子を導入するしかなかったんだ」


「馬鹿な事を言うな、それなら、この隔離状態を、どう説明するつもりだ」


「治療のために使った、導入遺伝子のプロモーターに使ったウイルスCOVが強い感染力を持ったんだ」


「ウィルスが変異したと言うのか。なんて事をしたんだ、感染すればどうなるんだ」


「強い中枢神経障害を引き起こす」


「そして、それが、この状態か」

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