カミサマの夏へ届けたい、祈りの読書

駄菓子屋で紡がれる、少女と駄犬とカミサマのおはなし。
カミサマはずっと昔に死んでいて、記憶を探して駄菓子屋で詩集を読んでいる。
炎天下の中、繰り返される日常と、変わっていく日常。

合間合間に挟まれるカミサマの記憶は、とても凄惨なもので、どうか思い出さないでくれと思ってしまいます。

——焦ル事ハナイ。夏ハマダ始マッタバカリダ。
キャッチにもなっているこの文章が本文に流れたとき、胸がきつく締め付けられ、それでもカミサマの『夏』が楽しいものになってくれと強く思いました。
私が抱いたこれは、祈りだったのかもしれない。
だとすればカミサマは本物の神様だったのかもしれません。

私は読みながらに祈っていた。
入信しながら読書をしたのは初めての経験でした。