世界最強の海洋生物を食べる女

バーベキューパフェ(バフェ)

一食目 シャチが鳥を食う映像が未だに忘れられない!

「うわぁ、大きいね。」

「これの生き物はシャチっていうんだぞ。」

何故か小さい私は少し自信満々に

「怖いけどカッコいいね。」と言っていた。

「怖いけどカッコいいのか、京子の変なの。」

「変じゃないもん!」


私が小さい頃に見に行ったあの大きなシャチを見た記憶。


その日のお土産はシャチのぬいぐるみだったのもよく覚えている私の物心のついたころの最初の頃の記憶だ。


それから、ぬいぐるみといつも一緒にいていた私は

活発ですぐにそのぬいぐるみを綻ばせてしまった。

そのままそのぬいぐるみよりもいろんな友達ができて、

勉強や部活、遊びに目が回るような

目の前の日常に忙殺されて忘れてしまっていた。


ある日の会社の昼休みに一本の動画が手元に上がってきた

そう、シャチが鳥を食う映像だ。


残酷に見えて、シャチがとても賢くスマートである魅力を

120パーセント映していると私は思えた。

そして、あの昔の大きなシャチの記憶がフラッシュバックしてきたのであった。


私はそのままシャチのことをスマホで調べることにして

シャチと検索していくうちにシャチに実際に日本で会えるのは、

片手で数えるぐらいもない水族館と

知床という2つの情報を知った。


流石に嘘だろと他に調べてみてもやはり結果は同じだった。

パンダでももう少しいるぞ。

そう思いつつもいつも通りのご自慢の切り替えの速さで

諦めるつもりで残り短い昼休みを少し休憩し、終えた。


いつも通りの仕事をこなしていると

今日はたまたま残業もなく、ラッキーと思いながら

子供の頃から住んでいる家に帰った。


時間はいつも夕食を食べるには早く、

3つのお茶碗にご飯を盛り、

久々に父と母と食卓についた。


そして、父から嬉しそうにあることを告げられた。

「父さんと母さんな、

次のゴールデンウイークで結婚25周年なんだ。

前の20周年の時は海外旅行だったんだが、

去年、この家の外壁工事で

旅行の積み立てのお金を使っちゃったから

今回はしぶしぶ国内旅行の北海道にするんだ。」


私はとっさに「親孝行で少しなら旅行代を出すよ。」と

柄でもないこと私は言った。


しかし、父は珍しく頑固そうに

「いいんだ、京子はもう社会人になったし、

今回は初めて2人きりで行くんだ。」と言われ、

そう言われては首を縦にいいというしかない。


実際2人は昔から仲が良く2人きりというのも久々なのだから。


そして、思い出したように会話を少し前に戻した。

「国内旅行なのはわかったんだけど、場所ってどこだっけ。」

父は「さっきも言ったけど北海道だよ。」と確かに言った。


たまたまはフィクションでもない限り、

あまり何度も起きることはないだろう。

北海道は広いにしても、

シャチが偶然にもいる知床のある所じゃないかと本当に驚いた。


驚きながらも私の口はもう次の言葉を出す寸前だった、

「私も行くよ。」

そう言ったのはいいものの父は、

「駄目だよぉ~。父さんと母さんの二人で行くんだ。」

勢いを落とさずに私は

「だったら、一人で行くもん。」と昔に戻ったように言った。


そして、今日のお昼に見た

知床のシャチのことについて話した。

「いいわね。シャチ。

シャチちゃんを私たちも見に行きましょうよ」と

あまりわかってなさそうに母は言った。


続けて父も、歳に似合わず初々しく

「そうだな、俺たちも行こう。」と言った。

けれども、当たり前のように

「でも京子は一緒じゃないからな。」

と母に目線を送りながら言った。


こんなに仲のいいのは全く私としてはうれしくないのだが、

世間体では羨ましがられるだろう。

と思いながら、ままに夕食を終え、それから自室に行った。


そして、何かの縁だと思い、四捨五入すると明らか0に近い通帳を眺めながら行くことを決心した。

ホテル、ツアーの予約を空きが少ない中、

幸運ながらも完了した。


とあって、なんやかんやで結局私は一人で

北海道に数日間だけ行くことにした。











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