お正月はどうする?
12月31日、大晦日。
この日はいつも9時に寝る人たちが夜更かしをする日と言っても過言ではない。近くの神社へ言って鐘を鳴らし、新年の鈴を鳴らす人が多くいるこの日7時半頃、弥登はキッチンで頭を抱えていた。
「おーいお兄ちゃん」
年越しをした後祖父のいる実家に向かい、正月はダラダラしている為冷蔵庫の中を空にしている。
その為、今年も実家(?)帰りをしようと考えていた弥登だったが、1つ考えている事があった。詩音を家に招きたいのだ。
「うーん……」
「お兄ちゃん、詩音ちゃんもう来てるよ?家に居れるよ?」
「………………」
「もういいや、入れちゃうからね。詩音ちゃーん」
忘年会の1件によって詩音に対して自己満足で動こうと決めた弥登は、相手の詩音を祖母の家に誘いたいのだが、どうやって誘えばいいのか分からない。何度も脳内で場面を想像するが、全て断られる未来しか見えない。正解が見つからない。
「ああもう、詩音にどうやって家に誘えば良いんだよ?……どれだけ考えても答えが出てこない……」
「……誰かに相談したらどうでしょうか?」
「そうなんだけどさ……だけどさ~こんな馬鹿げた話、誰にも言え……な……い?」
「お邪魔します、弥登君。」
いつの間にか会話していた方へ顔を向ければ、この家に居ない詩音さんがいた。顔には出さなかったけどびっくりした……何で居るの?
「七海さんが入れてくれました。七海さんが『何度も呼んだけどお兄ちゃんはキッチンで1人頭抱えているから入っていいよ!』と言われて。」
「そうだそうだー!」
「後ろにいたんかい。」
詩音の後ろから出てきた七海に思わず突っ込んでしまう。わざわざ後ろに隠れた意味とは…
「コホン、来てくれてありがとう詩音。まだ年越し蕎麦は作っていないからそっちのコタツでゆっくりしててください。出来次第、そっちに持っていくので。」
「………私も手伝いますよ?」
「あーー大丈夫です。お客様に手伝いをしてもらうのはちょっと……出来れば妹と遊んであげてくれると……」
「というわけで詩音ちゃんはこっちねー」
「な、七海さん?」
それとなーく理由をつけて詩音を遠ざける弥登。内心は恥ずかしい所を見られてしまった今の顔を見られたくなかったのである。それを察した七海が詩音を連れて行く。
詩音を七海がリビングに連れていくのを確認した弥登は火照った顔を元に戻す為、無心で3人分の蕎麦を作り始めるのだった。
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「七海〜蕎麦出来たから机の上片付けて………」
年越し蕎麦が出来たので机の上の物を退かしてもらおうとキッチンから出た弥登が見た光景はコタツの机で静かに怒る詩音と正座して静かに青ざめる七海の姿だった。
この事態を知らない弥登はどこに埋まっているか分からない地雷を踏まない用に探りながら二人に話しかけた。
「その……………どうしたの二人共?」
「なんでもないよ、ねー詩音ちゃん。」
「…………そうですね!」
少し不機嫌そうに返す詩音。その表情には冷静そうにしていても不満がありありと出ている。なぜそうなっているのかは知らないが七海が何かやらかした事はわかる為、七海は置いとき詩音に話しかける。
「えっと………詩音…怒ってる?」
「なんで怒らないと行けないんですか?」
「オーケー七海ちょっとこい。」
横で真っ青になっている愚妹(七海)の服の首元を摘まんで引きずり廊下へ引きずり出す。
(お前何しちゃったんだよ!?吐け!今すぐ吐け!詩音のあんなに怒っている姿見たことが無いんだけど!?)
(その……えっと……)
何度か言葉を詰まらせた後に意を決した七海が経緯を話す。
(その、遊ぼうとして誰でも有名な髭おじさんのカーレースをやったんですけど詩音ちゃんゲームやった事ない初心者だったので一方的な虐めになりました……)
(…………………は?)
予想していた答えとは違った弥登は目が点になりながらを詳しく聞く。
(最初は一回遊んだときに初心者なのが判ったのでこう、手解きをしょうとしたんですけど詩音ちゃんの負けず嫌いに火がついたらしくて……)
(うまくかわせず付き合っていたから間接的に虐めになったと。)
(はい…………ごめんねお兄ちゃん!こうなるとは思わなかったんだよ!)
(………………)
どうやら七海もわざとでは無いらしい。らしいがうまく煙に巻く事もできたのでは?とも思っている弥登は頭を考えた。
考えて考えて考えて………1つの孔明を見つけた。
(任せとけ、我が妹よ!)
(お、お兄ちゃん?)
天の裁きに震えている七海にサムズアップした弥登はリビングへ移行して、見えないように置いておいた紙袋を引っ張り出した。
人の手を包み込めるぐらいの物に一昨日買った物を入れてラッピングしてあるそれを、詩音の目の前に置いて、申した。
「コレで、許してもらえませんか!」
そう言って弥登は紙袋の中から猫のぬいぐるみを取り出した。
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