第8話 絵を描くには

絵が上手くなりたい。子供の頃から絵は展覧会などで観るのは母親の影響もあり好きだった。しかし、自分で描くことには興味がなかった。好きな漫画のキャラクターを真似てらくがき程度に描くことはあったけど、自分で何かをみて描こうとか、空想して描こうとか言うことはなかった。らくがきでも何度描いても上達しないし、漫画のキャラクターもちっとも上達しないし、絵は3歳児並みで止まっている。だから自分は絵の素質は全く持っていないと思っていた。


私とは逆で姉は絵が上手かった。漫画のキャラクターも本物そっくり描く。ポスターにして飾っても良いくらいだ。どうすれば姉みたいに描けるのかなぁと思いながら描いてもちっとも姉のようには描けないので、それ以上描くことも無くなって今日に至っている。


SNSをよく徘徊しているとファンの人が描く人物画が流れてくる。写実的な物やイラスト、アニメの画面みたいな物や、写真と見違う物。その界隈では絵師さんと呼ばれているアマチュアの方々だ。プロの画家なのかなぁと思うほど上手い方もいる。実に素晴らしい。


2年前にパソコンでレモンと苺の絵を描いたことを思い出した。初めてパソコンで描いた苺。イラストのような出来栄えで、我ながら上手くできたと満足していた絵だ。もうひとつ描いたレモンの絵はグレーや白などで陰影も付けようなどと欲張って描いたため腐ったカビレモンになった。あれは酷かった。また何かでこのレモンをリベンジしたいと2年経った今、その気持ちがむくむくと頭をもたげてきた。どうすれば良いかな?


パソコンでデジタル画を描くのも良いけど、今度は手で描きたい衝動に駆られている。絵の具とか色鉛筆とかシャーペン画とか。カビレモンにならないようにするにはどうしたら良いか考えてみた。正しいかどうか分からないけど、塗り絵をやってみたらどうだろう?塗り絵は自分としてはディズニープリンセスとかアンパンマンとかそう言う子どものおもちゃのような位置付けだったけど、大人向けのものもあるようだ。認知症予防とかボケ防止の文字が入っているものもあったけど、それはいただけない。そう言う目的では無いので、普通の大人向けのものが良い。決してボケではない。


花・果物、風景画、リラックマなどのキャラ物、詩が書いてあってそれのイラストに色をつけると言うものもあった。「詩が書いてあるなんてステキ!」そんな事を思って中を見てみると私好みの詩ではなくて全くステキでなかったので却下。『ベルサイユのばら』の塗り絵なんてものもあったけど、私が塗ったら池田理代子先生のステキな色使いが台無しになってキラキラした思い出が残念な記憶に塗り替えられてしまうからそれも買えない。と言うか買いたくない。私の腕ではあの美しい絵が汚されてしまう。見たくない。修復して猿みたいに残念な結果になったキリストだったかマリアの絵みたいになってしまう。風景、果物、花、全部まとめて出ているものがあれば良いのにと思っている。


色鉛筆も欲しい。息子が小中学校の時に使っていた12色入りは家にあるけど折角だからもうちょっと色が多いのが良い。来月私の誕生日なので夫が何かプレゼントしてくれるそうだ。色鉛筆と言ったらなんと言うかななんて思っている。24色くらいが良いかな?そう言えば小学生の時に誕生日プレゼントで親に36色の色鉛筆セットを買ってもらった事をこれを書いていて急に思い出した。どこか記憶の片隅に埋もれていて一度も開けることのなかった頭の引き出しをテキトーに開けたら紙クズのようになった物が偶然出てきたみたいな感じだ。あの時は使うのが勿体無くて使わずにじっと眺めているばかりだったなぁ。今実家にあるのだろうか?


何十年も経ってまた同じ事をしようとしている。流行は繰り返すじゃないけど、また一周してきているようだ。この流行は何周繰り返すのだろうなどと考えながら欲しいものを考える。塗り絵と24色色鉛筆セットを下さい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る