第13話 S級女冒険者

「冒険者ギルド長、不思議な泉を発見したとはどういうことよ。」


ベルン公爵領の北側には、ジフ火山とその麓に樹海が広がっている。その広大な樹海の中でS級冒険者が、不思議な泉を発見したというのだ。なんでも、泉の周りに認識疎外の聖魔法が張られており、魔物や狩人では発見できないようになっている。


「わたーしの領地にそんな場所があったのね?そのS級冒険者に褒美を取らせないといけないわ。キルド長、そのS級冒険者の名前と宿を教えて頂戴。」


「冒険者の名前はユーリで、宿は『乙女の秘密』だと聞き及んでいます。」

「セ~バ~~ス、今すぐにその宿へ向かい、その冒険者を領邸に招待しなさい。」


名前からして女冒険者だな。ソロで活動しているってことは、かなりの実力者だ。しかも、聖魔法の認識疎外を見破って通ることができるということは、ぼーくと同じ聖魔法使いだな。なんとか引き込めないかな。


【名前】レイアーズ公爵令嬢(元フューネル王太子)

【レベル】21→26 

【体力】127→129

【魔力】25→97

【スキル】魔力操作2→3

【魔法】水属性2→3 聖属性1

【加護】精霊王の加護

【称号】水やり賢者 エロレズ美肌

毎日庭園に水やりしたせいで、魔力と水魔法レベルが上がったな。ぼーくに体力は必要ない。魔法こそ美しい。


   ♦


「招待いただき誠に光栄でございます。S級冒険者で聖騎士のユーリと申します。」

「領主代理のレイアーズよ、本日はご苦労様。ユーリの今回の功績に褒章を与えようと思うの。何がよいか申してみて。」


「・・・少し考えさせてください。」

「急がなくてもよいわ、客人としてもてなすので、ゆっくりしていきなさい。」

「ありがとうございます。」


聖騎士なだけあって、礼儀正しいな。

銀髪に赤い眼、肌は驚くほど白いな。アルビノっていうやつだな、こいつは珍しい。


「ユーリはソロなのか?パーティーは組んでいないの。S級でもソロで活動するのは何かと不便でしょうに。」

「はい、確かに不便ではありますが、ボクはこの見た目なので女性には気味が悪いと言われます。それに・・・・。」

「それに?」

「ボクはなんです。」


まあ確かにアルビノは吸血鬼と容姿が似ているから女性には不評だろうな。男性が苦手ということは、ペタンちゃんと同族なのか・・・これは確かめる必要があるな。一芝居やってみるか。


「今日は疲れたであろう。晩餐までまだ時間もあるわ、どう、わたーしと護衛騎士のペタンララとユーリの3人で風呂に入らない?この領邸の大浴場はちょっとした自慢

だわよ。わたーしがユーリを差別しない証拠にもなるでしょう。」


「はい、喜んで。ボクはお風呂大好きです。」

「大浴場で待っているわよ。」


カッポーン。


まずは恒例の元王太子チェーック。

ユーリは全裸になると、肌の白さが一層と際立つな。しかしあの乳はいかんな、大きいが聖騎士として鍛えてるせいか堅そうだ。やっぱりペタンが一番だ。さて、ここらでペタンとイチャイチャして様子を見るか。


「ペタン、最近は御無沙汰だったからね。胸ぐらいは触っていいわよ。」

「はい、おっぱい姫様。」

「ユーリの様子はどうかな?」


ガン見してるよ、ワナワナと震え出したぞ。あの反応は驚いているのか、喜んでいるのかどっちか分からん。


「姫様、キ・キ・キスしていいで・・・・・。」


ブチュー。

あっ、こらペタンやり過ぎだ。こいつブレーキが利かなくなってる。


ユーリは、なんと両手を組んで教会で神官がするようなポーズで拝んでるよ。目からは涙まで流してるんだけど。

「貴族令嬢とエルフ、尊い。」


ブーーーーー。

バタン。


「ペタン、ユーリが鼻血を出して倒れたわよ。わたーしの部屋に至急運びなさい。」

「えっ、はい。」


   ♦


「申し訳ございません。」

只今ユーリがバスローブを着て、ぼーくの部屋で土下座中だ。


「もういいわ、顔を上げなさい。」

「ユーリさんどうしたんですか、急に倒れて。」


「実は・・ボクは男性は苦手で少し触れられるだけでアレルギーが出るのですが、女性同士がイチャイチャしたり、性的な行為をしているのを見るのは好きなんです。最近はあまりに好きすぎて、女性同士の恋愛小説を読んでいます。」


「見たり読んだりするだけでよいのか?」

「いえ、本当は・・・。」

「本当は?」


「描きたいんです!女性同士が見つめ合ったり、絡まったりしている様子を絵に描きたいんです。描いている時が一番興奮するんです。それを恋愛小説の挿絵にするのが夢なんです。」


特殊性癖だな、ちょっと変態だな。ぼーくには理解できんが、この子は有能だ。ぜひとも仲間に加えておきたい。


「今回の褒美はそれでよいわね。さきほどの大浴場の様子を絵に描くことを許可するわ。そのための部屋と道具もこの領邸に用意するわ。ただし、誰にも気づかれなようしようにしなさい。」

「はい。」


「それともう一つ。絵が完成してからでよいから、樹海の不思議な泉までわたーしを案内してもらえないかしら。そうしたらもう1回、百合シーンを覗かせて絵を描かせてあげるわよ。」


ブーーーーッ。


あ、また鼻血だした。

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