きっと誰もが、自分だけの儚い城を持っている

「白い蝶が飛んでいた」あの日の表現で惹き込まれ、その後の台無しな展開も含め、彼女だけの好きな人の美しい立ち姿が書かれたところで文章センスに惚れました。前半の綺麗な文章と後半の程よく迫った生々しい描写や心理のギャップが良いです。(主人公と初恋の人じゃ住む世界が違うのは最初からなんとなく示唆されているので、この空気の転換も入りやすい)

思い出を振り返りながら、自分だけの城を作るしかないと言う彼女の孤独さにも、どこか共感してしまった。

彼女も自分の若々しい痛い感情に振り回されたろうけど、構図的には男の子二人の方が振り回されたんじゃないかって思う感じもまた面白いです。

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