第7話 人気セクシー女優殺人事件

「必ずホシを挙げる!!」


 工口こうぐち警部は珍しく憤っていた。


 人気セクシー女優・小豆沢おまめざわゆずが、AVの撮影現場で毒殺されたのである。

 小豆沢ゆずは150センチの小柄な身長ながら、Fカップの豊乳とアイドルのような愛らしい顔で一躍トップ女優へと昇りつめた。工口警部にとってはデビューから追っている、自分史上最も抜いた女優だった。


 ゆずの死因はテトロドトキシン、通称フグ毒での中毒死。ちなみに用意された弁当に入っていたのは、フグではなくアジフライだった。


「警部、容疑者を連れてきました」


 朝立あさだち巡査はそう言って六人のむくつけき男たちを紹介する。

「右から、志子田しこた飛雄とびお宗呂そうろ惣之助そうのすけ勢子せいし幾三いくぞう立棒たつぼう堅太けんた陳川ちんかわ長介ちょうすけ金玉かねたましげるです」


「……何なんだその名前は? 全然頭に入ってこんぞ」

「ははは、何を今更。それに覚える必要はありませんよ。どうせ警部は考えないんですから」

 警部による鉄拳制裁。


 容疑者たちは一様に白ブリーフ一丁だった。この日の撮影は所謂いわゆるモノで、彼らは全員汁男優しるだんゆうだった。


     ♪ ♪ ♪


 警部に呼び出されたギャル探偵・肉倉ししくらエリカは何を思ったのか、突然容疑者たちのチンポを掴むと、激しく扱いて一本ずつ射精へと導いていく。

 しかし、汁男優たちは既に一仕事終えた身。飛び散る精液はどれも少量であった。


「どうしたんだエリカちゃん、欲求不満かね? だったら今晩僕とどうかな? なんちて」


 そのとき、容疑者の中で一人だけが特濃の精液ザーメンを発射した。


「犯人、わかったんだけど」


     ♪ ♪ ♪


「犯人はの撮影中に小豆沢ゆずを毒殺したんだ」

「……どういうこと?」

「犯人はを装って、ゆずにテトロドトキシンをたってことだよ」

「え? 僕、この間フグ料理屋で白子食べたんだけど……」

「フグの精巣には毒はないから平気。って言うか、そもそも人間の金玉に毒入ってるわけないだろが、バカオヤジ」

 エリカのツッコミに、警部はペロリと舌を出す。


「使われたのはAVの撮影で使われる疑似精液ザーメン

「疑似精液ザーメン?」


「中出しモノのAVなどで使われる、偽物の精液だよ。卵白と牛乳なんかで比較的簡単に作ることが出来る。犯人はこれにフグ毒を混ぜて、射精したふりをしてゆずの目や口に入るようにぶちまけた」


「そうか、汁男優は大きな白ブリーフを履いているから、毒を隠すことも難しくない!」


「つまり犯人はあたしの手コキで一番搾り精液ザーメンを出した、志子田飛雄」


 こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る