第22話

ここはとある男の部屋。男の手には少量の蛇の抜け殻を持っている。

「一旦cm入ります。」チャラララリィラリィ♪ポチッ、その男はテレビの電源を切った。朝からググッど!では伊勢連続殺人事件で女子中学生が首絞めによる殺人された事を報道していた。「中学生か、マスコミも昼夜犯人を追っているのか。さぞ楽しかっただろうな。」そう呟くと窓越しに笑顔のような不敵な表情が映っていた。




ところ変わって仁村京一は仕事を終えて車に乗っていた。仁村「乗っていきますか?」仕事が終わりバス停で月梨はバスを待っていた。月梨「あっ!先生、うーん、お願いしちゃおっかな(笑)」仁村「狭いですが、どうぞ。」月梨「すごい高級車ですね、私嬉しいわ。」仁村は黒のポルシェに乗っている。仁村「そんな事ないですよ。」狐顔に白い肌の仁村は笑っていた。




金丸は急ハンドルを切っていた。クルクルクルッ!ハンドルを回すとタイヤがアスファルトを擦る音がする。「月梨さんだ!間違いない!どこ行くんだ!」金丸はとっさの自分の行動に自問自答していた。しかし、警察まで仁村先生に聞き込みに来ていたからだ。「ひょっとして彼氏なのか!?」仁村京一が運転するポルシェの助手席に座っていたのは、間違いなく月梨が座っていた。黒のポルシェを追いかける金丸。「やっぱりなにか変だ!」金丸の直観はそう捉えていた。2人の車は坂を上がっていく。

ラジオDJ「次の曲もレミオロメンで『恋の予感から』、皆さん最近恋してますか?」ラジオDJの女性はしなやかな声でそっと告げるように話した。「月梨さん…何処行くんだ…家とは真逆の方向だ。」心配そうに金丸は仁科の車を追いかけている。



仁村「昨日は大変でしたね。」月梨「私、だいぶ危なかったみたい、藪先生の事辛くって…」仁村「藪先生も最期まで月梨さんの事心配していましたよ。」月梨「えぇ…」仁村「あっ、そうだ、ネクタイ、まだ渡してませんよね?」月梨「ネクタイ?」仁村「藪先生がずーっと着けてたって有名でしたよ。月梨さんが中学生の時に上げたんだってね?」月梨「あっ、はい。」月梨は少し照れた。仁村「看護婦さん達が、毎日着けていたって言っていましたから。よほど嬉しかったんでしょうね。」月梨は少し下を向いた。仁村は悲しそうな月梨を見て、「少し気分転換していきますか?」月梨「あっ!大丈夫ですよ。」仁村に気を使った月梨。「いいんですよ、誰にでも辛い時はありますから。」そういうと仁村はアクセルを少し強く踏んだ。


金丸「あっスピード上がった。一体どこに向かっているんだ!?」レミオロメンの、恋の予感からが全く耳に入って来ない金丸がいた。金丸は集中して仁村を追いかけている。


仁村の車が山道の中間辺りで止まった。「降ってきたね。」少し強めの雨が降ってきていた。時計の針は18時を回っていた。気づくと辺りは薄暗くなっていた。「ちょっと待っていて。」ドンッ仁村は運転席を降りて、後ろにあるトランクを空けた。金丸は気づかれない所に車を止めてその様子を見ている。仁村は黒いバックのジッパーを開けて中から紺色のネクタイとナイフを取り出した。金丸「なんでナイフ持っているんだ…!?」金丸は車からとっさに飛び降りた!!仁村の元へ走る金丸。


金丸「おい!!」仁村「!!」振り返る仁村。仁村「なんだ、君は?」金丸「怪しいと思ったんだよ!なんでナイフなんか持っているんだ!!」仁村「フッ」仁村は不敵な笑みを浮かべている。

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