第24話 かみなり1

今日は大雨が降っていた。だから早く店も閉めたし、自称幼馴染も早く帰って来た。椿の大学も休校だったらしい。


「空兄、よく考えたら、私の方が姉だと思うんです。20歳ですよ。」

いや、それは今、どうでも良くて


「前世を考えれば、私の方が姉ですから。」

いや、それよりもさ


その時に部屋が明るくなり、しばらくして

『ゴロゴロドドド』

爆音が響いた。


3秒ぐらいだったから、大体1キロぐらいか。結構近くに落ちたな。


「空くん(兄)」

涙目に自称幼馴染と椿がなっていた。


「両方から足を持って来るのやめてくれませんか?歩けないんですけど。」

それと彼女らは、死ぬほど雷が怖いのか。立ち上がり、夕食を作ろうとした僕の両脚にしがみついていた。


無駄に可愛いなとか、胸当たってるしとかいろいろ言いたい事があったが、今はそんな事言っている余裕は無かった。この雨、雷、時間は無かった。ヤバいだろこの感じ。


「空くん何言ってるの?かみなりだよ。怖いじゃん。どこ行くの?」

幼馴染はかみなりとか怖いのダメだったな。なんか懐かしいな。


「そうですよ。空兄。雷はやばいですよ。」

椿もか、最近は雷も大丈夫だったと思うんだけどな。


「いや、夜ご飯、いらないですか?」

夜ご飯抜きなら別に動かなくても良い。


「「それはいるけど」」


「大丈夫だって、避雷針とかあるし。だから離してください。」

文明の力を信じるしか無い。それと準備をして備えるしかない。


「「頭では分かってるの」」

脚にしがみつく2人はこっちを睨み上げながらそう言った。


「1人で住んでる時どうしてたんですか?」


「「家の中央でうずくまってた」」

……一人暮らし向いてないな、この人達。


「……2人で抱き合ってそうしてて下さい。」


「「酷い、鬼、悪魔」」

そこまで言われなくても良いと思う。


「まだ停電してない間に、いろいろしたいんですよ。悪いとは思いますけど。はなして下さいねね」


「空くん。停電なんて言わないでよ。」

痛い、爪が刺さってるし、マジでもう。ビビりすぎでしょ。


「最悪を考えておかないと無いですからね。店の方は完全に対策したけど。家はまだ出来て無いんですよ。」


「あっ、空兄、停電したらお風呂どうなる?」

眼を見開き椿が叫んだ。雷の音より声量が出てた。


「水だったら出るかもね。」

お湯は出ないでしょ。電気無いお湯出せないし。


「……空兄、お風呂入ってたのって。」

まあ、だって水風呂嫌だしね。


「今から2人で入ってくれば良いんじゃ無いですか?」

2人だったら怖くないだろう。それに何か雷にビビってるのは可哀想だけど。


「「おへそ取られるかもじゃん」」

アホがいた。姉妹揃って何か言っていた。


「取られないから。2人だったら大丈夫。てか、椿は」


「空兄…克服したと思ったんですけど。怖い怖い言う人がいるから…」

ああ、まあ涙目で怖い怖い言ってる自称幼馴染の楓がいるからか。


「私のせいなの?空くん。だって怖いからしょうがないじゃん。」


「とりあえず、離れて。ご飯、いらないなら良いですけど。」


「「分かった離れてお風呂入るから。空くん(兄)、怖いからお風呂に着いて来て。」」

2人は涙目でそう言っていた。馬鹿じゃないのかな。どうすれば?ああ、そうだ。


「はいはい。お姉さんなら先に行けますよね。」

そう言うと2人は『私の方がお姉さんだから』って言いながら足を離れて浴室に向かった。

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