千歳の「櫻」が表す彼の心性とは

千歳の祖父であり、偉大すぎる画家・月代白阿の死後からはじまる物語。
祖父の絵画はどれだけ評価されていたのか克明に描写はされるが、その絵画自体の描写が、意図的なのか曖昧にぼかされています。
(第1話の『一般人から見ればなんてことない風景描写などなど』と)
そのため、本作で重要となるであろう、祖父と千歳の『才能の差』がどれほどなのか、このレビュー時点の最新話(第4話)では不明なままになっています。
それは、これから千歳の『絵を描く』という行為と意味によって明らかにされるのだろうと思われます。

文章は若干詩的でそれが読みづらくも感じました。
しかし、千歳の心象など、丁寧に描写されている部分もあるため、その書き分けがうまくできれば、詩的で美しい文章になるのではないかと思います。
たとえば、第2話の最後、千歳が絵を描くシーンなどは、三人称一元視点の千歳の独白と神視点が混じり合ったような印象を受けました。
『それはきっと千歳の色』までの文章は、千歳の心象が丁寧に描写され、これから彼がどのような絵を仕上げるのかワクワクするような書き方だったため、その書き分けがやはり重要なポイントかと思いました。

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