第469並行世界 勇者の息子と魔王の娘

 少女はアルベルトの前にあるテーブルを指でなぞった。

 直後、テーブルが真っ二つに割れる。


「フォスレピーダ流手剣道か」

「あ、わかります?」

「勇者だった親父から、そういう流派があると聞いている。手のひらに魔力の刃をまとって攻撃する、剣を持たない剣道、あるいは斬る格闘技だと」


「勇者の息子と魔王の娘」より

https://kakuyomu.jp/works/16817330662261958271



●多様な戦闘技術

 第469平行世界で特筆すべきことは、超自然技能を伴う戦闘技術が極めて多彩であるという点だ。

 調査員・市川太郎が行った1次調査ではフォスレピーダ流手剣道やトリスラム流光弓道をはじめとして、20種を超える技術が確認された。


 これほどまでに多くの戦闘技術が編み出されたのは魔族と呼ばれる人種の生活圏が数百年に渡って紛争状態にあったのが原因だと思われる。

 多くの魔族にとって戦闘技術の習得は生存のために必須の教養であり、生存率向上のために魔族は戦闘技術の改良を常に行ってきた。


 その後、人族との共存共栄を目的とする魔族の勢力が出現し、共存派を通じて魔族が編み出した戦闘技術が人族に流出した。それらを元に人族も独自の戦闘技術を次々と編み出していった。


●大量の調査員派遣

 平行世界調査機関は調査員の自衛能力向上を目的として大量の調査員を第469平行世界に派遣し、現地の戦闘技術を習得することを決定した。


 また戦闘技術の他にも、治療や偵察、あるいは製造に関する技術も存在しており、それらも調査員たちが現地で習得された。

 平行世界調査は少人数制を基本としていたため、この決定は異例ともいえた。

 この時に派遣された調査員は後に教導員となり、後進の育成に力を注いだ。


●現地のおける学習

 第2並行世界が他の並行世界の知識や技術を吸収する時、多くの場合は調査員が現地から資料や製造物持ち帰り、それを解析するという形を取られる。

 ただし、その方法では十分でない場合もあり、第469平行世界のケースのように調査員が現地で一から技術を学習する場合もある。


 魔法学校のような現地平行世界にある専門学校に入学する場合もある。多くの場合、専門学校の生徒は未成年であるため、並行世界調査機関では現地の技術や学問を学習するのを専門とした未成年調査員も数多く所属している。

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