第14話 ノック

今の時間は5時、太陽が少しずつ沈んでい」すく、朱色の夕焼けらひりほせ空がとても綺麗だが、今から挑戦して見る行動のせいか少し不気味に見える。

心なしか日がいつもより沈むのか早いような気がする……

「……女子トイレに入る心の準備はOK?」

「ダイジョウブのはず……」

千隼君は深く深呼吸をして女子トイレの扉に手をかけたが……

スルッ

「おっとと…」

あまりの緊張のせいか、又は、自身が幽霊と言う事を忘れていたせいか、バランスを崩しながら女子トイレの扉をすり抜けて行った。

「……女子トイレに入った気持ちは?」

「……今すぐここから抜け出したい…だけど噂を確かめてぇ、だな……気持ちは」

「………じゃ、やるよ?」

「ああ、何かあったら俺が守るからな?

無理すんなよ?つんちゃん」


私達は前から4番目の個室の前に立った。

そして、ノックを“四回”した。

「田中さん、田中さん、いますか?」



辺りは変わらずシーンとしていて、静かだ…

「やっぱりガゼネタだったのか?、つんちゃんは何か見えたり、感じるか?」

「……いや、何にも見えないし、感じないよ…」

千隼君が見えた時と同じように見えるのかと思ったけど……そもそも幽霊の千隼君が何も感じないでいるのなら、“そこ”には何もいないのだろう…

「もう一回、やってみる…」

もし、これでいなかったら、潔く諦めて家に帰ろう…

コンコンコンコン。

私はまた、トイレの扉をノックした。

「田中さん、田中さんいますか?」

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