アラビア風+聖地巡礼+砂漠の砂を食べる竜+腕輪の導き=ドキドキな冒険!

運命のような出会いで、女傑ナージファの養女となったアイシャ。
女性の園である後宮で身を潜めるようにして暮らしていたアイシャが、赤き砂竜使いとして冒険の旅にでます。

気が弱くて臆病なアイシャ。砂漠の世界にすんなりと馴染むことができなくて、成長はゆっくりめ。
けれど運命は待ってくれません。
住んでいた村がなくなり、母親であるナージファは行方知れず。
従弟のファイサルと生きていかなければならない過酷な状況に陥ります。
砂竜のアジュルが誕生し、ワクワクする展開となっています。

私の一押しはファイサル!彼には伸び代がある!!赤の氏族としての誇りを垣間見せるシーンは成長を感じられて頼もしいです。
恋の期待をせずにはいられないのですが……アイシャとのやりとりはまだまだ子供。二人のやりとりがなんとも微笑ましくて、頬が緩みます。

また、謎が至る所に散りばめられているのも見どころの一つ。それがアラビア風の世界観と相まって物語に引き込ませます。
自分も砂漠の世界にいるみたいな風景の広がりやにおい、手触り、空気の流れ、人々の息遣い。五感が刺激される筆致はお見事としか言いようがありません。

荒々しい砂漠と、強く生きなければならない人間たち。楽しいだけではなく、過酷な現実も突きつけます。
けれど、かわいい幼竜のアジュルに読んだ人はみんな虜になるはず!

彼らと一緒に冒険の旅に出る感覚が味わえる、ドキドキハラハラのアラビア風ファンタジーです。

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