第2話 飼い主様の美尻にドキドキ接吻。

 目が慣れてくると、「奥様」こと飼い主様の顔がはっきりしてきた。残念なことに仮面で顔を隠している。それでも目元、口元、鼻先を見るに、相当な美人さんみたいだ。きっと、そうに違いない。なんだか嬉しい。体が疼いてきた。

「まぁ、尻尾を立てて、はしたないですね。このままでは人前には出せませんわね。さぁ立ち上がりなさい」

「はい、奥様」

 俺は尻尾を濡らしたまま「奥様」の前に直立した。

「お行儀は悪くないようですね。お前には、これを授けましょう」

 白魚のような指が尻尾に伸びた。まずい、我慢出来なかったら、殺されるのかな?

 喜びと恐怖に震えながら、俺は直立不動を保った。気が付くと、尻尾の根元には指輪の様なものが嵌められている。疼きは止まらいけど、なんだか落ち着いた気がする。

「好く粗相せずに我慢出来ましたね。今から、お前とお前のものは全て私のものです。さぁ跪きなさい」

 俺は何のためらいもなく「奥様」の前に跪いた。

「ところで、お前の名前は?」

「わかりません」

「奴隷でも名前は有るでしょう?」

「いままでの記憶が全く無いのです。自分の名前が何で、自分が何故ここに居るのかも判りません」

「そうなのですか……ならば、私が名付けましょう。名前を二つ授けましょう。一つは真名です。私とお前だけの秘密の名です。もう一つは表の名前です。人前で呼びましょう。先ずお前の真名を授けましょう。お前はコロコロしてるからチャルブと名乗りなさい。けっして他の者に知られてはいけません。次にお前の表の名前を授けましょう。イーサーと名乗りなさい。この国の建国の英雄の名です。」

「はい奥様、俺はチャルブです」

「俺ですって?」

「すみません、僕の真名はチャルブです。表の名前はイーサーです。名前下さり嬉しいです」

「よろしい。それでは私の真名をお前にだけ教えましょう。我が夫らも知らぬ真名ですよ。誰にも私の真名を漏らしてはいけません。お前は秘密を守れますか?」

「奥様の奴隷チャルブは、奥様の真名を誰にも漏らさぬことを誓います」

 奥様は仮面を外した。俺じゃなくて、僕が想像していたよりも遥かに美しかった。思わず尻尾が熱くなった。奥様はしゃがんで、僕の耳元で囁いた。

「私の真名はシフタークーンです。チャルブよ、もう忘れることも、漏らすことも許されませんよ」

「はい、シフタークーン様、チャルブは尊き御名を忘れることも、漏らすことも致しません」

「よろしい」

 奥様は僕の頬に軽く口づけをしてくれた。すると、体中に快楽と苦痛が同時に走った。気持ち好さと苦しさの板挟みで、床を転げまわってしまった。

「ごめんなさい。ケーラリーグの所為ね。あなたに意地悪した訳じゃ名のよ」

「奥様、ケーラリーグって?」

「指にはめるのがアンガスタリーグよ。あとは判るわよね」

 ケーラリーグって、あの「指輪」のことか。やはり貞操帯だったんだな。快楽と苦痛が収まると、奥様の前に正座して指示を待った。

「それでは、我が奴隷しもべチャルブよ、お前はシフタークーンを主とし、忠実な犬の如く片時も傍を離れず、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「あなた様の奴隷しもべチャルブは、シフタークーン様を主とし、忠実な犬の如く片時も傍を離れず、その命ある限り真心を尽くすことを誓います」

「さぁ誓いの口づけを為さい!」

 奥様はくるりと背中を向けると、長いスカートを捲り上げた。熟れた桃の様な尻を差し出した。込み上げる快楽と苦痛に耐えながら、奥様の甘い桃に口づけをした。後でわかったことだが、それがシフタークーンの意味である。

 さて、奥様の表の名前はなんだろう?

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