第20話 剣士と魔術師

「師匠…そういうのは良くないですよ、マジで」

「うぅ…でも、俺のせいでレアに迷惑かけてるし…俺は責められるべきなんだよ」


「セイル、迷惑なんてかけられて無いですから、安心して街生活を楽しめ?」

「うぅ…でも、でもぉ…」


セイル…いくらなんでも引きずり過ぎては?

もっとこう…楽しんだりなんでもすることを悪用したりさぁ…あるじゃん?


なのに延々と俺に責めてくれ〜とか抱き締めてくれみたいなことしか言わないし


やっぱりカグア次あったらボコボコにしてやろ!

…マジで顔の形変えてやろうかな


「分かりました、明日までに何か考えて置くので待ってて下さい」

「…責めて」


「…どうしても責めなきゃ駄目?」

「…うん」


「じゃあ…師匠のバカ!ポンコツ!自己肯定感へなちょこ!疑心暗鬼!」

「…えへへ、良かった」


何が!?何が良かったの!?

今のはちょっと怖いよセイル!?


ーーー


「セイル、あれから色々考えてな…思いついたんだ俺と戦おう」

「…は?な、なんで?」


なんで、って…そんなの決まってるでしょうに


「そりゃあセイルの価値を証明するためだよ!」

「ど、どうしても戦わなきゃ駄目?」


そ、そんな顔しても駄目です!

ちょっと揺らぎましたけど駄目です!


「昨日俺が罵倒しましたよね?」

「うっ!?………分かった、一回だけ」


一回だけ…つまり一回勝負か

これは中々厳しいな…


けど師匠を救うにはやるしかないよなぁ!?


ーーー


亜流四源流:模倣剣【神速】


どっかの流派の超高速の一閃の模倣

先ずはこれで師匠に初見殺しする…ってか最後まで他流派&亜流四源流で初見殺しする


亜流四源流:閃光剣【明滅】


それ以外では勝てない…たぶん


亜流四源流:模倣剣【空刃】


いや、このレベルで精神がボロボロなら精神攻撃しながら師匠の剣の模倣でどうにかなりそう…


亜流四源流:閃光剣【蜃気楼】


まぁ、今回はメンタルケアが目的だからその方法は使えないけどな!


亜流四源流:模倣剣【微塵】


つーか初見殺しも速度系にはもう慣れてきちゃってるなこれ、そろそろ反撃くるから手を変えるか


亜流四源流:暗黒剣【幽々】


でもなぁ…師匠、こんなメンタルでもちゃんと強い上に俺の修めてる四源流だと勝ち目が無いとか…


亜流四源流:暗黒剣【深淵】


マジでクソ仕様過ぎんか???


亜流四源流:模倣剣【震撃】


いやぁ…ここまで初見殺しで立ち回ってるけどそれでも与えたダメージは微々たる物だし


亜流四源流:混沌剣【嵐雑】


お?やっぱり速度か威力かどっちかに偏ってるのに慣れてる相手には混沌剣はよく効くなぁ…


亜流四源流:魔剣【焔の魔剣レーヴァテイン


よっしゃやっぱりまともに刺さった!

模倣剣で模倣した剣技を俺なりに解釈して俺の剣技として使う最強の初見殺し、魔剣シリーズ!


亜流四源流:暗黒剣【無彩】


ちなみに焔の魔剣レーヴァテインは特に威力の高い剣技

精神がボロボロの師匠では受け切れないはず

だからもうすぐ…


亜流四源流:混沌剣【渾沌】


ほら!剣を落とした!

確保ーっ!


ーーー


「う、うぅ…死ぬしかない…」

「セイル、落ち着け、死のうとしないで」


「レア、剣で負けた俺に価値なんて…」

「あります、だってセイルに勝ってもセイルは師匠だしセイルに失望することも無い」


「何が…言いたい?」

「セイルはセイル!剣とかセイルの中の一つに過ぎなくて、俺はセイルの全てが好きだから剣が無くてもセイルが好き」


「…!!!」

「だから責任感とか感じないでくれ、俺は全部込みでセイルが好きなんだ、勝手に剣以外を捨てないでくれセイル、頼む」


「…そうか、そうだな、お前はそういう奴だ」

「…?えっ、俺何か失言した?」


「いいや?秘密」

「えぇ、なにそれ…まぁとにかく!これを聞いて改心したらもう二度と罵倒してくれとか言わない事!いいね!?」


「分かったよレア」

「分かったならヨシ!」

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