第16話 凶暴化と氾濫

いやぁ…あの山を超えてから延々と凶暴化した魔獣に襲われてるんだけど…


でもこの感じは単純にイライラしてる魔獣が襲ってきてる感じだから剣気に当てられてる訳でも無い


じゃあ何なんだって話なんだけどさぁ…


これ、多分住処を追われたから気が荒くなってるだけみたいなんだよな…


そしてこの魔獣達の本来の住処は恐らくテュポン山脈…これ完全に師匠やらかしてるじゃん!


いや本当に何したらテュポン山脈の強い魔獣が怯えて縄張りを放棄するんだよ


…いや、師匠はあくまできっかけでそれ以前から何かが起こっていたのか?


その可能性も無くはないが…

でも師匠だから本当に全て師匠が原因だとしてもおかしくは無いんだよなぁ…


まぁ、それもこれも全てテュポン山脈に行けば

師匠と話せば分かるんだ


ん?テュポン山脈の魔物が下に降りてきてるって事はテュポン山脈を登ろうと思ったらいつもよりキツいんじゃ…


嘘だろ…


人づてに聞いた話でも相当キツそうだったのにそれよりキツいとかなに考えてんだよ…


…いや!まだ、まだテュポン山脈から降りて来たとは限らないから!大丈夫!セーフ! 


ーーー


「すまないな、今はテュポン山脈に氾濫の予兆が確認された、どうしても入りたければ領主さまに許可を取ってくれ」


クソが!アウトじゃねーか!

何でいつもよりキツいテュポン山脈を登るのにプラスして領主にも許可を取らなきゃいけねーんだよ!


どうにかしてくれよ!

山の中じゃ炎系の魔術使えねーなんてクソ縛りついてくるから山登りクソキツいんだぞ!


「師匠、もう辞めましょう、流石に氾濫直前のテュポン山脈に登るのは危険です」

「そうなんだけどさぁ…」


でも師匠と会うのを諦めきれねぇよ…

どうにかして会えないかなぁ…


何で師匠が山籠りなんて事をしているのか

そしてなぜリーナが出家した理由や何処に出家したのかとかも聞いておきたい


なによりカグアに傷つけられたとしたならば少しでも気持ちを楽にしてあげたい


だから、だから…


「すまんアリス、どうにかして師匠と会って、一言二言でも良いから言葉を交わしたいんだ」

「そう、ですか…分かりました、そこまで言うなら領主に直談判でも何でも手伝いますよ」


…!

そうか、こんな俺の我儘にも付き合ってくれるなんてアリスは優しいなぁ…


「アリス」

「何ですか師匠?」


「…ありがとうな」

「えへへ…それほどでも…」


さて、それじゃあ領主に直談判に…


ドドドドド


おっと?この音は…


「氾濫、氾濫だー!」


氾濫始まっちゃったよ!

…いや、逆にチャンスだ、俺の一番得意な炎系属性をここでは十全に使えるんだ


ここで氾濫を納めればテュポン山脈にも登れる…!


「アリス!逃げろ!俺はここで氾濫をどうにかするから!」

「…!いやです師匠!私も手伝います!」


アリスゥ…

直ぐに終わるから気にすんなよ…


とにかく!さっさと終わらせる!

そしてテュポン山脈に登る!


俺はやる、俺はやるぞ!!!

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