第9話 しゃあああああああ!!!

翌日


「準備とかあるから転校生イベントはLHRの授業でやるぞ」


「先生ー女の子ですか?」


「秘密だエロガキ」


「言い過ぎっす」


生徒と先生が馬鹿なやりとりをしている中、俺はテスト勉強に勤しんでいた。自慢じゃないがこれでも成績はトップだ。祈が学年一位の成績で釣り合いたいために今も努力している。少ししたら中間テストが始まるからな、一ヶ月前から勉強するのはもう習慣になっている。

正直転校生とか見る間も無く俺は勉強に没頭しているだろう。LHRは授業中にテスト勉強できるボーナスタイムだ、これを無駄に使うとかアホのやることだ。


ーーーーーーーー


・・・・・あれ?もうLHRか、一生英単語眺めてたらイベント開始前になってるじゃん。世界史覚えるか。


「お前ら待望の転校生だぞー温かく迎えてやれー」


「「「はーい」」」


「じゃあ入ってきてくれ」


「はい」


「んえ!?」


聞き覚えのある声だけで分かった。彼女だ、祈だ。予想もしなかった突然のことすぎる展開に俺は呆然とするしかなかった。

姿を見せた彼女に教室は少し騒ついている。無理もない、俺もここまで美人になってるとは思ってもなかった。俺の想像なんてチンケなものだと解らされた。


「やば、めっちゃ可愛いじゃん」

「お前アタックしてみろよ」

「えー行っちゃおうかな?」


ヒソヒソとした男子の声が後ろで聞こえる。


普段ならタコ殴りにしてもおかしくなかったがこの時だけは気にならないくらい動揺していた。

二年前より少し大人びて長くなった髪は増した美貌に拍車をかけていた。

無表情は相変わらずだな。あ、こっちみた、可愛い。


「転校生の祈舞衣です。地元はこの町ですが訳あって二年間地方にいました。中学はここの附属だったので知ってる人もいると思います。これから一年よろしくお願いします」


パチパチパチパチ!


「じゃあ祈の席はあそこな」


そういって先生が指差したのは最後列窓際という二年前とは真逆のポジション。これは喜ぶんじゃないか?


「チッ」


え、舌打ちしなかった?あいつ


「先生、私目が悪くて、ちょうどあの席ぐらいなら見やすいんですが」


そういう祈が指差したのは俺の隣の席、確か田中くんだったか?の席だ。


「あー田中、お前あの席でもいいか?」


「いっちゃん嬉しいっすあの場所!喜んで!」


田中くんはそそくさと荷物を持って移動していった。どうやらあの隣が友達だったようで幸せそうな表情をして話している。

だが俺の方が内心幸せそうな顔をしている!


しゃああああああああああああ!!!!!神展開きたコレェ!

隣に座る祈に話しかける。


「い、いのr」


「じゃあ今から親睦を深めるために自由時間にするから好きに話してくれ」


ドドドドドドドドッ!!


「祈さん可愛いね!友達になりましょ!」

「祈さん、舞衣ちゃんって呼んでいい?」

「ラインやってる?」

「祈さん彼氏とかいるの?」

「好きなもの教えて!」

「タイプの人は?」

「髪サラサラー!」


クッソ近づけねえ!邪魔だお前ら!


結局放課後まで祈と話す機会は訪れなかった・・・

いやでもマジで会えて嬉しい。家の場所とか同じなのかな?

まあ俺は彼女を守るために生まれたからな!

任せろって話ですよ!


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