コタツ理論

「寒い季節には、コタツで暖を取る。これが、至高しこうである」

 私は、コタツでぬくぬくしながら、そんなことをつぶいた。

 だって、考えてみてほしい。

 ストーブほど自己主張が激しくなく、カイロほど弱くもない。

 そう。コタツは、ちょうどいいのだ。

 もちろんのこと、寒い季節はコタツだけで乗り切れるほど甘くはない。

 だが、コタツの自己主張が強すぎない暖かさは、他の暖房器具を凌駕りょうがしているのだ。

 その理由が、先ほど述べたちょうどよさだ。

 ちょうどいい、というのは何事においても重要である。

 カリスマ、なんて呼ばれている女性が度を越した美容法をしていると、尊敬する人もいるだろうが引いてしまうこともあるだろう。それは、カリスマの美容への熱が一般的な人間と比べて高すぎるがゆえに起きることだ。

 部屋がめちゃくちゃに汚れている芸能人の暮らしぶりを見ると、共感する人もいるだろうがなんとずぼらな人間だと引いてしまうこともあるだろう。これは、先ほどの例とは逆に掃除への熱が低すぎるがゆえに起きることである。

 このように、熱のちょうどよさというものは、極めて重要である。

 コタツは、このちょうどよさが絶妙であるので、コタツの下にホットカーペットなど敷いてしまうと逆に失われる可能性がある。また、その状態で寝てしまうとコタツとホットカーペットの熱でのどがカラカラにもなるだろう。

 では、ストーブの前にコタツを置く場合。これは、離れた位置なら何ら問題ないが、ストーブを背にしてコタツに入った時、背中がじりじりと焼けてしまう。

 余計なことをしない。これがコタツでも、人生でも重要である。

 例えば……、あー、ダメだ。眠くなってきた。

 兎にも角にも。ちょうどよさと余計なことをしないこと。

 これは、コタツが教えてくれる重要事項だ。

 こんな理論に意味はあるのか分からないので、余計に深入りしないよう、ちょうどよく聞き流してくれると嬉しい。

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