未来からの来客

 普通の大学生であるの僕の前に、そいつは突然現れた。

 バイトが終わって、疲れて家に帰ってきたら、部屋の中に突然いた。

「だ、誰?」

「どうも未来人です」

 訳が分からなかった。とっさに部屋から逃げようとしても捕まったし。

 とりあえず、危害は加えないから話を聞いてほしい、という自称未来人の話を聞くことになった。

「で? 何の用なんだよ、未来人さんとやら」

「簡単に言うと、あなたの命を救いに来たんです」

 詳しく聞くと、今から30年後。僕は、交通事故で死んでしまうらしい。

 この未来人にとって、僕はとても恩がある人物なので、死んでほしくないのだという。

 まぁ、僕もできれば長生きしたいし、この未来人の要求を呑んでみることにした。

 僕の命を救うには、これから3日後に女性から告白されるが、それを断ればいいらしい。

 なんでもその女性との子供が、僕の命を奪う存在らしい。

 半信半疑だが、とりあえず3日後まで待つことに。これで、本当に女性から告白されれば、この未来人は本物だ。もしそうなら、もっと未来のことを教えてもらおうかな?


「好きです! 付き合ってください!」

 未来人の訪問から3日後。僕は、本当に告白された。

 告白された嬉しさよりも、僕は未来人が本物であることに感動していた。

 僕は、短く「ごめん!」と言って、女性に背を向けて走り出した。

 未来には、本当にタイムマシンがあるんだ。他にどんなものがあるんだろう?

 あの未来人ともっと話したい。僕の頭には、それしかなかった。

 急いで、未来人がいる僕の部屋へと駆け込む。

 そこにいたのは、足元から少しずつ消えていく未来人だった。

「な、どうしたんだよ!?」

「いいんだよ、これで」

 未来人は、涙を流しながら消えていく。

「これで――俺は父さんを殺さずにすむ」

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