あの感情は

 君に出会ったのは、中学生の頃だった。

 隣の席になって、会話をして、一緒に遊んだ。

 君には振り回されることが多かったが、それも楽しかった。

 進級した時に別々のクラスになってしまったが、廊下で会えば軽く話をした。

 付き合っているのか、なんて別の女子にからかわれたこともあったが、これは君は知らないだろう。その時は、君は仲がいい友達だと思っていたから、ぶっきらぼうに否定した。

 高校は、別々になってしまったが、帰りのバスが同じになることもあった。携帯電話でメールや電話もした。やっぱり君といるのは楽しかった。

 でも、大学に進学するとすっかり疎遠になってしまった。

 今は、どこで何をしているのか、全く知らない。

 どんな仕事をしているのかな。

 面倒ごとに巻き込まれていないかな。

 君のことだ。うまくやってはいるんだろうな、なんて思っている。

 もし、君にもう一度逢えるなら。

 まだ、僕のことを覚えているのか、聞いてみたいな。

 色々と思い出があるけど、それも覚えているか聞いてみたいな。

 そうしたら、また僕もあの頃感じていたあの感情をきちんと理解できるかな。

 君と話していた時のあの感情は。

 あの頃の僕には、理解できなかったけど。

 きっと、初恋と呼ぶのだろう。

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