第5話 まっぱと、風魔法、振度19

 枷を外したい。

 切実な思いだ。

 鉄で出来ているので切断は容易ではない。

 だが、魔法がある。

 魔石を溶かしたのだから鉄も溶けるだろう。


 プログラムの『magic_stone』の所を『iron』に変更。

 これでいけるはずだ。

 魔法を実行すると鉄は赤い水になった。

 こんなに簡単ならもっと早くやっておけばよかった。


 ふぅ、さっぱり。

 さっぱりついでに、まっぱになろう。

 しかし、異世界の服は何でこんなに脱ぎにくいのか。

 結び目だらけだ。


 まっぱになったぞ。

 おお、開放感。

 体のあちこちが痒かったんだよな。

 水場はあるから水浴びしよう。


 魔道具が蛇口に設置されている。

 魔力を注いで起動すると、水が出て来たので、金属の洗面器に水を張る。


 手ぬぐいが欲しいんだが。

 服を手ぬぐいにするしかないか。


 下着を濡らして手ぬぐいにする。

 そして、5454、9292と。

 き、きました、きたー、波がきた、ビックウェーブ19.19メートルであります。ライドオン、波に乗って頂点に。

 またやってしまった。


 まあいいさ。

 急ぐ旅でもない。

 ぐぅとお腹が減る。

 参ったな、食料のあてはない。


 厨房があったので駄目元で覗いてみるとも箱型の魔道具が設置してある。

 パン製造機と書いてあった。


 ご都合主義極まれりだな。

 手引書を読むと魔法は召喚魔法だそうだ。

 なるほどね。

 そりゃあ、石弾の魔法で、石はどこから出て来たんだってなるよな。

 魔力で物質化するのは、とてつもないエネルギーがいるはずだ。

 E=MC^2だからな。


 召喚魔法なら空間をゆがめれば良い。

 魔力という未知のエネルギーが空間に作用するものなら、何となく納得できる。


 とにかくパン製造機はパンか小麦を召喚するのだろう。

 魔力を補充して起動する。

 焼きたてのパンが出て来た。


 パンだけでは味気ないが、ちぎって口に入れると極上の味に感じられた。

 夢中で食べる。

 3つもパンを食べてしまった。


 食があるなら、ここにしばらく居てもいいだろう。


 脱いだ服を洗って乾かそうとした。

 ロープがないぞ。


 クローゼットがあるな。

 中を見るとハンガーがあった。


 ハンガーに服を干す。

 暇なので魔法を見直す事にした。


 風の魔法だ。


extern void time_wait(long time_ms); /*単位はミリ秒*/

extern MAGIC *wind_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法情報*/

 mp=wind_make(0.0001); /*風を起こす*/

 time_wait(10*1000); /*十秒待つ*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 ポーションにしたのはこの魔法を簡略化した奴だ。

 効率を良くするは嫌いじゃない。


 この魔法はポーションより詳しく説明しているから、効率と安定性は抜群のはずだ。

 言葉の呪文よりプログラムの呪文が優れているのは当然だな。

 情報量が違う。


 実行したが魔法は発動しない。

 やっばりポーションでないと駄目か。

 だが、50回目ぐらいに魔法が発動した。


 発動したが、魔法は駄目だ。

 こんな成功率が悪いのなら、いざという時の武器にはならない。

 よし、ポーションだ。

 ポーションは飲めば、100%の確率で発動する。

 魔道具と同じ仕組みだからな。


 とにかくポーションだ。

 火でも電撃でもポーションならいけるはずだ。



 ご褒美をあげないと。


extern MAGIC *wind_hammer_make(float mana);

extern void magic_move(MAGIC *mp,int distance_mm); /*動く距離を示すdistance_mmの単位はミリメートル*/

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 int i; /*カウンター*/

 MAGIC *mp; /*魔法情報*/


 for(i=0;i<10000;i++){ /*一万回繰り返し*/

  mp=wind_hammer_make(0.0001); /*風を起こす*/

  magic_move(mp,5); /*魔法を動かす*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 ふふふっ、作ってしまった。

 ウインドハンマー、5ミリ一万回繰り返し。

 これをどうするかと言えば、おっとここからは乙女の秘密。


 き、きました、きたー、エロニチュード0.721、振度19であります。

 ちょっと凄すぎて、頭の中が真っ白。


 満足満足、ご満悦。

 そろそろ、服が乾いただろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る