死への非常階段

たから聖

第1話 死への非常階段。

あるワクチンが開発された……。


研究者達が人体実験を繰り返し

幾人もの命を落としている

のも垣間見ずに……。




~とある都市~

そこには、巨大なビルが建ちならび、収容された囚人、

身寄りの無い老人達に

ワクチン実験をしていた。



『腕を出して……そうそう

力を抜いてね?』


優しい語り口調が、かえって

囚人達、身寄りの無い老人達に

とっては幸せを

感じていた。


とりとめの無い会話が出来る。

ワクチンビルの噂は

密かに囚人間で……広まっていた。


囚人はワクチンを打ち、研究者

達から貰った報酬で、

ビルの最上階で……毎日

ステーキを食べて喜んでいた。



『こんな豪華な扱い受ける犯罪者かよ?いいねぇ。ホントに

幸せだねぇ。』


ビルの中では、皆が幸せだった。


『こんなに幸せが待っているなら

あの人にも、教えたいくらいだねぇ。』


『まぁ、ひとくくりに犯罪者

って言っても、皆、良い子じゃないの?』


老婆は……少々痴呆が入っていた。その老婆は囚人達、一人一人に、、、


『いいかい?ここではお上に、

逆らっちゃあいけないよ?この

幸せな生活、逃すんじゃあない。』


痴呆気味の老婆はたまに本音が出る。



その老婆は……若き頃、、

連続殺人、窃盗を繰り返し


挙げ句の果てには終身刑となり

研究者のかっこうの餌食となったのだ。



研究者は、女に話した。


『いいかい?君に残された道は

このワクチンの実験に参加する

事だ。必ず、君を悪いようには

しないから……。』



そう言い残し部屋へ案内した。


死刑宣告をされたのに何故か

豪華な部屋の作り。


研究者は……女にワクチンを

投与した。



『これはね?君が一番最初の

テストなんだよ?いいかい?

何か、話したくなったらボタンを

押して。



いいかい?必ずだよ?』


そう言い残し、研究者達は部屋から出て行った。


研究者は……カルテに

と書き加えた。


その前には、死刑囚人体実験計画中と……書いてあった。


研究者達が、女の様子を観察していると、ベッドで幸せそうに

眠っていた。




【1日目】

深夜にボタンが押された。


誰かと、話がしたい。と女が話すと研究者達は言った。


『誰と話がしたい?』



女が話を始める。


『ちょっと、言い訳したい。

あのね?人を殺すのってクセに

なると思う?

私の場合は……仕方なくよ。


お金に困って、資産家を狙ったって訳よ!』



女は話を続けた。


『窃盗?そうねぇ。男に貢いで

関係をせまってまのよ!


あぁ、仕方なくよ。ホントに

仕方なくよ。


そうそう。幸せになりたかった

だけなのよ。


何か、食べたいわ。』



研究者は……何が食べたいかを

聞いた。



『あぁ、昔ねパパにバーベキューをご馳走になったわ。』



パパって??と研究者が

問うと……


研究者が、カルテに書き加えた。





女はまたボタンを押す。

研究者が問うと……水が飲みたい。と……言い出した。



研究者が部屋にありますよ。と返答すると……


女は、喋りたい!誰かと喋りたい!

ボタンどころか、部屋のドアを

ドカドカと、蹴り始めた!



そのうちに、気がふれだして

精神安定剤を研究者が、素早く

打った。



研究者は……カルテに再度

書き加えた。



《終身刑に、なった囚人でも

贅沢な暮らしを求む……

結果、囚人は1度味をしめると

贅沢思考。》



カルテに、再度別の囚人で……


とだけ書いた。



研究者達は囚人を幾人か見繕ってきた。


そうこう人体実験を繰り返して

いるうちに、


幾人もの囚人が口から血を吐き

無残に死んでいった。



研究者達は……何かを話し込んでいた。



『ちょっと、改良を重ねましょう』

研究者達は……囚人に加え、

身寄りの無い独居老人を探し出した。




程良く太った、いかにも人が

よさそうな老人を見付けた。





~続く~

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