その義元、最恐につき

 本作の今川義元の抱える闇が黒い沼のようだ。その悪意と謀略の凄みとは梟雄・謀聖という言葉でもまだ足りない。自己愛、権謀術数、加虐性、良心の欠如の四つが揃ったダークテトラッドの人格が武力、知力、権力も揃えた最悪のヴィランとして織田信長と対峙している。

 魅力的なヴィランを通り越して、怖すぎてこの義元には感情移入できない。こんな化物あいてに信長は本当に勝てるのか心配だ。義元が最恐だからこそ、信長たちを素直に応援したくなる。がんばれ、信長!負けるな、信長!ジャイアントキリングだ!

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