第4話 ドM包囲網2

 な!なんだと!あのクール系が売りで、どう見てもSっ気しか感じない、お姉さま系アイドルのあやちゃんが、まさかのみうと同じ、罵倒して喜んだだと!


 「この事務所のトップアイドルには、変態しかいないのかーー!あのあやちゃんだぞ!膝枕されて罵倒されたいと憧れを持っていたのに!俺の憧れを返せー!ク〇〇○!」

 

 俺が、再びク〇〇○と言うと「違うわ!私は、みうと違って何回も同じことを言われても興奮しないの!」と俺に向かって叫んでくる。


 知るかーーー!


 「知るかーーー!」


 俺が、あやちゃん(偽物だ!あのあやちゃんがこんな変態なはずがねえずら!)と話していると、「ちょっと!マネージャーの言いつけ通りに、ジュース買ってきたんだから、雌豚!違うだろう!もう一回買い直してこい!って労を労って罵倒して、私を興奮させてよ!」


 知るかーい!


 「知るかーい!」


 なんだなんだ!畳み掛けるように!みうのマネージャーになってから、純情だった、俺はどこへいってしまったんだ……カムバック、ヒヤーー、ピュアマイハート!


 「あらあら……騒がしいわね!どうしたの?」


 と、俺たちの楽屋が騒がしかったらしく、たまたま通りかかった「見た目は、ゴリゴリの男!中身は、OL!」の中畑カメラマンが楽屋に入ってくる。


 中畑さんは、床に膝立ちになっている俺と、はぁはぁ言って顔を赤くさせるあやちゃんと、なんだかよくわからないがジュースを持ったまま、マネージャーに詰め寄るみうを見て、「あら!お邪魔だったようね!失礼しましたぁ!」と楽屋から出て行こうとする。


 よくわからないが、「逃げるなー!助けてくれー!オッサンなのにスイーツが好きな、見た目とギャップがありすぎて、うわ!マジかよ!女子力高ーな!と俺が思ったカメラマン!」


 ピクっと反応して、止まる中畑さん。


 よかった!助けてくれー!と中畑さんに手を伸ばす。


 中畑さんは、肩を上下させながら、こちらに振り返る。


 その様子に、なんだか嫌な予感が止まらない!この感じは、まさか!


 「あんた!みうのマネージャーだったわね!オッサンって誰に向かって言ってんのよ!業界No.1と呼び声高いアタシに向かって!……アタシは、そう言うのがめちゃくちゃ興奮しちゃうんだからね!」


 って、おまえもかいーー!


 「オッサンでドMなんて、俺の中でなんの需要もないんじゃーー!」


 俺のツッコミに、さらに、興奮して、体をくねくねさせて、近寄ってくる中畑カメラマン。


 ヒィィィィ!く!来るなぁぁぁぁ!


 「こんなところにいたら、俺はおかしくなってしまう!かくなる上は!仕事放棄して自宅へ逃げる!」


 だが、俺を逃さないドMたち!


 「くそ!俺は、何もやっていない!無実だー!」


だが、俺に逃げ道はなく、壁際まで追い詰められる。


 くっ!これが!ドM包囲網か!


 「く!くるなぁぁぁぁ!」


 それでも、3人は止まらず、「もっと雌豚って呼びなさいよ!」「何回も同じことを言われても興奮しないのよ!」「もっと、私の目を見てちゃんと言いなさい!」と詰め寄ってくる。


 「ひ!いーーやーーあーー!」


 あまりの迫力に気を失ってしまった……


これが、本当にあった世にも恐ろしいドM包囲網……ドSの皆さん、やりすぎには、十分注意しましょう……(体験者:TS)


 つづく……

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