第3話 目指せストレスフリー生活
ちなみに兄上は【極炎】のスキル持ちで、スキルの効果は炎魔術の威力が五十%上昇するというぶっ壊れ性能である。
ゲームの知識では炎系統のスキルは【炎帝】が一番上にあり、その次に能力上昇値が高いスキルである。
因みにスキル【炎帝】の効果は炎属性の魔術の威力が二倍になるというぶっ壊れどころの話ではないスキルなのだが、まずゲームの知識がないと取得できないスキルの上に産まれながらに持っているのはドラゴンなどの上位種族のみである。
すなわち人族では炎属性最高値のスキルを兄上は所持している事になる。
そりゃ神童だと持て囃されるわけだ。
そして俺は逆に、できればゴミスキルが良いなと思っている。
というのも両親や兄上との会話を聞く限り知らないみたいなのだが、最大五つまでスキルを加える事ができる上に要らないと思ったスキルは外す事ができるのである。
ゲーム通りであるのならば、なのだが。
とにかく、とりあえず俺がしょぼいスキルであればあるほど兄上の輝かしいスキルの影に隠れて目立つことはそうそう無いだろうという魂胆なのである。
言い方を変えれば兄上を隠れ蓑にしたいという事だ。
腐っても貴族。
変に良いスキルを得てしまったばっかりに婚約者を作られてはたまったものではない。
俺の趣味に無関係な人間を巻き込むなど俺が精神的に耐えられない。
何故折角ブラック企業から逃げてこれたのに今世でもストレスを抱えて生きて行かなければならないのか。
目指せストレスフリー生活である。
そんなこんなで月日は流れてスキルの儀を受ける日が翌日という時までついに来た。
「大丈夫よ、ローレンス。 あんなに魔術書を読んで火、水、土、風の初級魔術を覚えているんですもの。 あのトーマスお兄ちゃんはローレンスと同じ歳の頃は火の初級魔術を覚えるのでやっとだったのよ」
「そう変に期待させると余計に不安になるのではないかね? ペニー」
「それもそうね、エドワード。 別に私たちはローレンスがどんなスキルを得たとしても今まで通り変わらず愛していると誓うわ。 だから、胸を張ってスキルの儀を受けて来なさい」
俺が不安げに過ごしていると明日のスキルの儀で緊張しているのだろうと思った両親はわざわざ俺を慰めながら頭を撫でてくれる。
良い両親である。
しかしながら、まさか『明日ショボいスキルが当たりますように』と願っているとは夢にも思わないだろう。
「はいっ! お母様っ! それと、お父様もわざわざ僕を気遣ってくれてありがとうございますっ!!」
しかしながら俺の考えを教えるわけもなく、この日は家族でゆっくりと過ごすのであった。
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