第5話 落第勇者、任務を受ける

 遅くなって申し訳ありません。

 これからは週2、3回ペースでやっていきたいと思います。

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 同じチームの3人と対戦した後、俺は明日の任務について簡単に説明されてからすぐに家に帰宅した。

 両親には如何して遅くなったのか聞かれたので適当にバイトをしていたと言って誤魔化した。

 それから風呂に入って夕食を食べてからすぐに自分の部屋に戻り、ベッドに横になる。


「あー今日も疲れたなぁ……それに優奈さんめちゃくちゃモテてんなぁ……」


 如何やら優奈さんのチームは組織の全男性憧れのチームらしく、物凄く競争率が高いんだとか。

 なのであの3人は組織でも指折りの実力者とまではいかなくてもそこそこの実力者らしい。

 確かに結界系の異能は結構使い所多いだろうし、矢上先輩は物凄く努力家だった。

 三木谷は……まぁ身体強化系の俺の嫌いな人間だなくらいの印象しかない。

 しかし幾ら俺が三木谷の事が嫌いでもチームの和を乱してはならないので、冷静に対処していこうと思う。


 そして明日の俺の初任務だが、結構難しい任務だった。


「……違法異能者の確保ね」


 異能は勿論のこと顔とか見た目の資料もあったが、ソイツをこんな広い日本で探すのにはとても手間が掛かる。

 俺は会った事がないので気配も分からないし、この違法異能者の異能からして見た目で判断するのも難しい。


 今回の違法異能者の異能は【変装】。

 自分の姿を偽る事が出来ると言うだけの異能なのだが、この異能を使って銀行員になりすまして忍び込み、何千万円も奪って行ったらしい。

 だがその異能のせいで戸籍などが特定できても捕まえられない。

 よって俺たちの下に依頼が来たんだとか。


「うーん……如何やって捕まえるか……。異世界の道具があれば一瞬だったんだが……」


 異世界には物凄く高価で数が少ないが、異能の名前を打ち込めばその異能を持っている者を見つけてくれると言う素晴らしい道具があった。

 だが俺は使った事ないし、そもそも俺みたいなギリギリS級の男にそんな高価な物が買えるわけがない。


 まぁ光輝は貰ったらしいけどな!

 それも惚れられた他国の王女に!

 羨ましすぎだろ……何だよ他国の王女に惚れられるって……。

 俺なんて異世界で仲良くしていた女性なんて受付嬢かパトリシアさんしか居なかったって言うのに。


 ……話がズレたな。


 そんな戦闘能力は全くのゼロだが逃走に関しては最強な異能者を今回捕まえなければいけない。

 優奈さんや先輩方も今回は頭を抱えていた。


「はぁ……マジでどうやって捕まえんだよこんな奴……」


 結局その日は何も思い浮かぶ事なく眠りについてしまった。 

 





☆☆☆





 ——次の日の放課後——


 俺は学校の帰り道にそのままの足で組織に行く。

 学校に行く間も授業中も何かいい案がないか考えていたのだが、モンスターと違っておびき寄せる事が難しいので結局これと言っていい案は出なかった。


 頭を悩ませたまま代表室に入ると、既に戦闘服に身を包んだ優奈さんと先輩達がいた。

 しかし皆の顔色はあまり優れない。


「こんばんは、優奈さん。顔色が優れませんが、やはり今日の任務のことですか?」

「……こんばんは隼人君。……そうですね、今回の様な任務はあまりこちらに回って来ないので私達も頭を抱えているのです」


 そう言う優奈さんの言葉を引き継ぐ様に龍童代表が口を開く。


「本来ならこの様な依頼は我が組織の頭脳である神原君のチームに任せているのだがね、今は別の重要な任務についているんだ。だからこのチームに回ってきた」

「でも俺たちでなくても他のチームも沢山あるじゃないですか」


 この組織は結構大きく、人数も相当いるので、わざわざ優奈さんがやらなくてもいい気がする。

 しかし龍童代表が言うにはそうも行かない理由があるらしく、優奈さんが自ら引き受けたらしい。

 

 さすが優奈さん。

 困っていると率先してやるとは……俺よりも勇者みたいだ。

 しかしそんな優奈さんが困っている。

 ……此処で俺がビシッと解決すれば好きになってくれるとまでは行かないが、結構好感度が上がるのでは無いだろうか?

 …………そう思うとめちゃくちゃやる気が出てきた。


「優奈さん! この任務、俺が2時間以内に解決して見せます!」

「「「「ええっ!?」」」」  


 俺の言葉に4人の驚きの声が被る。

 

「隼人君! ど、どうやって見つけるんですか!?」


 優奈さんが驚愕と困惑をない混ぜにした様な表情で聞いてくるので、胸を張って答える。


「まぁ見ていてください。【身体強化:Ⅶ】」


 まず身体強化を発動。

 体に雷紋の様な亀裂が入り、髪が舞い、眼が銀色に変化してオーラが発生する。

 いきなりの事でさらに驚いている皆だが、今回はこうでもしないと俺の頭が持たないので勘弁してほしい。


 さて……準備は整った。

 俺の異世界で鍛え上げた【感知】を見せてやる。


「———広域感知・対象異能者。更に対象を絞り、【変装】を感知」


 その瞬間に俺の頭に日本中、1億人越えの全人物の情報が流れてきた。


 

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