第23話 第二の試練とは



「第二の試練の説明するよー!」


詩織が落ち着き、ついに第二の試練の説明を聞けることになった。

僕らは地面に体操座りをして、妖精が話すという授業のようなスタイルで聞く。


「私たち鏡の妖精は、人の姿を真似ることが得意だよ!

こんな風にね!」


シルビアがその場でクルクルと回ると、光に包まれた。

次の瞬間、そこには僕がいた。


「僕だ、、、。」


まるでコピーをしたかのように僕そっくりだ。

髪の質や長さ、肌の色、洋服の汚れなんかも完璧に再現されている。


「私たちは真似ることで人の深層心理まで知ることが出来るよ!

詩織そっくりになった私たちの中から〝本当の自分〝を見つけられたら試練はクリア!

次の試練への切符を手に入れられるよ!」


僕の姿で可愛らしくポーズを決めたり、手振りをしないでほしかった。

見ているのが辛い。


「詩織、他に質問はある?」


シルビアがまたクルクルと飛び回ると、今度は元の妖精の姿に戻っていた。


「うーん、、、ない、かな?」


「じゃあちょっと待っててね!」


詩織の返事を聞くと、シルビアが空を見て両手をブンブン振る。


「みんなー!試練始まるよー!」


「「「「「はーーーーーい!!!!!」」」」」


上空から複数人の声が聞こえ、シルビアによく似た妖精が何人も現れた。


「ひゃあああ!!!妖精さんがいっぱい!!!」


先程落ち着いたばかりなのに、妖精大好きな詩織がまた大興奮している。


「この子が試練を受けるの?」


「名前は詩織だよね?」


「全然魔女に見えないね!」


妖精たちは詩織を囲んで楽しそうに飛び回っている。

それを見たシルビアがパンっ!と1つ手を叩いた。


「ほらー!先に会場の準備だよ!」


頬を膨らませて怒った表情を作っていたが、可愛いだけだった。


「そうだった!」


「準備、準備!」


妖精たちが手を繋ぎ、輪になる。

そしてそのままクルクルと飛び回る。

歌を歌いながら。


「なんて言ってるの?」


歌の歌詞が聞き取れず、ノアくんにコソッと聞いてみた。


「妖精の言葉だから俺にもわかんない!

師匠はちょっとわかるらしい!」


妖精の言葉だから聞き取れなかったのか。

ドロシーは妖精の言葉もわかるのか、すごいな。


「そろそろ来るぞ!」


ノアくんが指差す上空を見てた。

すると、谷中の鏡がこちらに飛んできて、砂埃を起こしながらどんどん地面に突き刺さる。

圧巻の光景だった。

詩織に当たるんじゃないかと思ってヒヤヒヤした。

やがて鏡たちは一つの大きな迷路のようになった。


「出来た!」


妖精たちの輪からシルビアが詩織の前に飛んでくる。


「詩織!鏡の迷路に入って!

〝本当の自分〝を見つけられたら迷路から出られるよ!

頑張ってね!」


「ノアくん、レアちゃん、蒼、行ってきます。

私、頑張るからね、蒼。」


僕たちに手を振り、詩織はシルビアと共に鏡出て来た迷路へと入って行った。








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