久しぶりの仕事

あの騒動から2週間が経ち皆がようやく落ち着いてきた頃首領は私たちを呼び出し、ただ一言「久しぶりの仕事だ」と告げた。その言葉に私はにこりと笑みを浮かべ周りは活気づいた。

「首領何を盗むんだ?」

「そうだな……このリストの中だとこの2本の刀だな。」

「刀……?」そう言われ私たちはリストへと目を移した。そのリストの中には刀の名前が書かれていた。

「雪華ノせつかのつるぎと……フェッロブルート……ですか」

「あぁ。この雪華ノ剣は雪のような白い刀身で鞘は冬の空を写したような澄んだ青色らしい。」

「へぇ……このフェッロブルートというのは?」

「見た目は刀というよりカトラスに近いらしい。」私と首領がそう話していればアレンはニヤリと笑い「その2つが目当てか首領。」と問いかければ首領は静かに頷いた。「行くのはライ、ライカ、アレンの3人だ。ついでに面白そうな本を数冊盗ってこい。」と指示を出せば私達は笑みを浮かべ「了解 首領」と答えた。




私達はアレンが運転する車に乗り目的地のとある屋敷へ来ていた。

「……ここから盗むの?」

「あぁ。屋敷の人間は俺たちに任せるって」

「首領……まぁ攻撃されたら正当防衛ということで……」

「「賛成」」そうライカとアレンが答えたあと私達は物音を立てずに屋敷へと潜入した。


暫く屋敷の中を歩いているとアレンが立ち止まり部屋を指さした。そこには【コレクションルーム】と書かれており、私達は小さく頷いた。


「鍵は……かかってない。」

「こーゆー所って鍵をかけると思うんですけど……」

「家の中だから安全と思ってるんだろ。」小さな声でそう話したあと私達はコレクションルームの中へと入った。中に入るとそこには様々な武器や本、標本などが飾られていた。「ライ。目的のものは見つかるか?」とアレンに言われれば私はきょろきょろと見渡し、そっと指を差した。

アレンは頷き手を伸ばし剣と刀に触れた。すると辺りに警報音が響き私達は一斉に警戒態勢に入った。


「ライカ、ライ!早く盗って帰るぞ本は諦めろ」

「了解。ライカ行こう!」

「うん!」そう言って私達はコレクションルームの窓から飛び降り脱出した。

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