仕事の成功と宴会

車に揺られ私たちはアジトがある場所まで戻ってきた。車から降り軽く伸びをしながら団員たちは「疲れたー」「客多かったもんなぁ」「とりあえずお風呂入りたい〜……」など言っていた。(確かに疲れはあるけど……嫌な疲れじゃない……)そう考えながら歩き適当に団員たちは座り雑談をしていた。すると首領は「よし。全員揃ってるな。ライの仕事成功祝いだ。」と笑いながら言った。その言葉を聞いたアレンはため息を吐きながら「首領はいつも急すぎるんだよ……」と呟きカイルは「んじゃ準備してくるわ」と告げ外へ出た。


「あ……あの首領…?」

「ん?あぁ口実みたいなもんだよ。なにか盗ってきた時はだいたい酒を飲みたがる奴が多いからな。」

「あぁそれで……でも皆さん楽しそうですね」

「そうだな。まぁあいつら酒好きだし……」そう話していると暫くしてカイルが袋を持って帰ってきた。「おーい酒盗ってきたぞ。アレン飯の方準備できてるか?」とカイルが言えばアレンはトレイに乗った食事を運びながら「今出来た。おーい手が空いてる奴運ぶの手伝えー。あっライはそのまま休んでていいぞ」と告げられた言葉に瞬きをしたあと私はこくりと頷いた。




食事やお酒の用意が終われば首領が周りを見たあと「乾杯」と告げグラスを掲げた。その言葉を聞いた団員たちも「乾杯!」と告げ周りはワイワイと騒ぎはじめた。私はその様子を見ながら一口ずつお酒を飲んでいた。するとアレンが隣に来て座り「ライ。もしかしてこーゆーのは苦手か?」と問いかけてきた。私はふるふると首を横に振り「いえ……ただ初めてなので」と告げた。その言葉を聞いたアレンは私の頭をぐしゃぐしゃと撫で「気にせず楽しめばいいんだよ」と笑いながら告げてきた。



「あ〜!アレンがライの頭撫でてる〜!いいなぁ〜!」

「おいニーナお前酔ってるだろどんだけ飲んだんだ」

「んふふ〜全然酔ってないよぉ〜」

「ったく……絶対酔ってんだろ……」

「わ……私お水持ってきますね」

「あぁ。悪いなライ。頼む」そう告げられればこくりと頷き私はキッチンへ向かい冷蔵庫に入ってたペットボトルを取りフロアへ戻った。


「はいニーナお水。これ飲んで」

「んふふ〜ありがと〜」

「どういたしまして。それにしても……(皆いっぱい飲んでるな……首領もいつもより表情柔らかいし……)」そう考えていればニーナはそのまますやすやと寝息を立てて眠り始めた。私は首領を見たあと首領は「そのまま寝かせてていいぞ。いつもそんな感じだ」と告げてまたお酒を飲み始めた。私は小さくため息を吐いたあと笑みを浮かべ楽しそうに笑っている団員たちを見つめながら考えていた。(情報屋のままならこんな"楽しい"って気持ち無かっただろうな……)と。

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