神様を脅して6,000のスキルを貰い、魔神からも威圧スキルを貰って、転移された異世界を幸福度上位の世界にノシあげる。

いそゆき

第1話 神様に殺された私、神様を脅す。




私は榎本マリ。

14歳、中学生。




その日、期末テストが終わり明日から始まる夏休みに心が躍っていた。

海、旅行、ご飯、考えるだけで私は自然にニヤついている。



いけない、いけない。

まだ帰宅途中、気を引き締めなきゃ。




自転車に跨り、横断歩道の信号待ちをしている自分に言い聞かせる。



信号が青に変わり、左右を確認して自転車を漕ぎ始めた瞬間、私の前を黒い影が通り過ぎる。

その瞬間、私の目に映っていた景色が回転した。




なんで道路がこんなに近いんだろう

なんで建物が傾いているんだろう

なんで体が動かないんだろう




私は自分の視線にもう一つ映り込んだ物を見つけた。

横断歩道の白線が私の顔と触れている。




そうか、私は倒れているんだ。




自分が倒れていることを認識した瞬間、景色が変わった。



先程までと違って自分は立っていた。

辺りを見回すと、壁などない白一色の世界だった。

白一色の中でも、水平線が確認できる。




「榎本マリさん」




後から突然呼び声が聞こえ、驚いた私は反射的に振り向いた。

そこには、金色の髪、青い瞳をした美しい女性が立っていた。

女性は白色の衣装を纏っており、年齢は20代位に見える。



「あの、ここは?」


私が問いかけると、女性は優しく、そしてどこか悲しげな表情を浮かべながら答えを返した。



「ここは、神界です。地球で言えば、天国です」

「天国•••」


私はその言葉を聞いた瞬間俯き、自分の死を悟った。



「私は、死んじゃったんですね」

「その通りです。申し訳ありませんでした」

女性はその場で頭を下げた。



んっ?申し訳ありません。とはどう言うことだろう。



「私は事故か何かで死んだんですよね?別にあなたが謝る必要はありませんよ」


女性は更に頭を下げ、次の瞬間、驚きの言葉を発した。



「私が、あなたを殺めてしまったのです」



んっ?殺人犯?



「あなたが私を殺したんですか?」

「その通りです」

「私はここが天国と言われた時、あなたは神様なんだと勝手に思っていたんですが、違うんですか?」

「いいえ。あなたの言う通り、私は人神で、名をシンと申します」



ん〜?神様?

だけど、殺人犯??



「何で私を殺したんですか?」

「あなたはこの神界に来る直前の景色を覚えていますか?」


神様の問いかけに、私は瞳を閉じて記憶を遡

る。


「横断歩道の白線が私の顔と触れていて、その前は•••」

黒い影のことを思い出した私は、素早く瞳を開いた。


「あいつだ。あの黒い影!!」

「その影は悪神。私は悪神を撃つために神の裁きを放ったのですが、悪神は裁きを躱し、後ろにいたあなたに直撃したのです」


私はその場に膝から崩れた。



神様は私の肩に手を置き、再度謝罪を告げる。



「夏休み、、、海、、、旅行、、ご飯、、、」

「あっ、あの〜」


神様の困った声が聞こえる。

私はその場に立ち、神様の顔に自分の顔を近付けながら叫んだ。


「どうやって償ってくれるんです!!」

「私の夏休み。どうしてくれるんですか!!」

「そうですか、そうですか。庶民の小さな幸せを奪って、頭下げて終わりですか!!」


私の剣幕に神様は後退りをしながら言った。



「いいえ。ですから、あなたには異世界で新しい人生を歩んでいただこうと思っています」



異世界?定番の??

私の訝しむ目線に神様は続けて言った。


「お詫びとして、通常3つのスキル付与のところを、倍の6つまで用意しようと思っています」


その言葉に、私の中の何かが吹っ切れた。

いや、血管が切れたのかもしれない。



「あのさ〜、6個ってありえないよね?14歳のか弱き乙女を知らない世界に放り出すのに6個?両親にも会えない不遇の中学生にスキル6個??」

神様はどうしていいか分からず、えっと、えっと、と呟いている。


「1,000倍」

「えっ?」


素っ頓狂な声をあげる神様に関係なく私は続ける。



「6個の1,000倍。6,000個って言ってるの。殺人犯さん」


私の笑みを浮かべた表情に神様は恐怖の表情を浮かべた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る