第二十二話 『球技大会の準備をしよう!え、やりたくない?お前に拒否権はねぇ!』

俺の忙しすぎた誕生日からかれこれ二週間が経過した。

と言っても主にテスト勉強漬けだったせいで特に何も起こっていないのだが。

そして、また色々と忙しい日々が戻って来る。


「来月の初め頃、球技大会だから全員何かしら出る種目決めとけよ」


今朝のホームルームで担任からこう告げられて、今現在うちのクラスは昼休みということを差し引いても盛り上がりすぎていた。主に男子が。理由はもちろん、学校一の美少女こと高瀬魅依にアピールすること。

うん。言いたいことはすごくわかる。

だってもう女子の男子を見る目が、素早くて黒いあのカサカサ動く羽虫ことGを見る目とほとんど変わらないんだもの。


冷めた目って行き過ぎると、本当に寒気を感じてくるんだなぁー。うん(現実逃避)


だけど、こういうときは影が薄くてよかったと思う数少ない機会だと思う。

矛先がこっちに向かないからね。

基本話題の輪に入れないから、全体を俯瞰して見ることができるようになってしまったのは内緒である。


さてこの状況。

うん。収まりそうにないね。だってさっきより盛り上がってるもん。

そしてそれに比例するように女子の目もどんどん汚物を見る目に変化していってるんだけど。

……帰っていいかな。

昼休みだけど帰っていいかな。


不幸中の幸いか話題の中心である高瀬さんは現在委員会の活動で教室にいない。

まあ、だからこそ男子がここまで騒いでいるのだが。


「俺がバスケをやる!」

「いやバレーは俺がやるっていってんだろ!」

「いや俺がバドミントンやってやんよ!」

「「「全ては女子(高瀬さん)にアピールするために!!」」」


はは、心の声がダダ漏れやぞキミ達。

おそらくだが男子達による種目決めのイかれたテンションは昼休み中ずっとこのままだろう。

そして俺はその話題に入っていけないので、こそこそと教室の外へ避難している。

決して話題に入れなくて自分で傷ついたわけじゃないんだからね!

……

ないんだからね(泣)





はい、ここで皆さん気づいているでしょうか?

今ここで話題に入れなかった弊害を。

そう。自分の入る種目を決めていないことに。

そのことに俺が思い至るのはもう少し先……だったらよかったんですけどね(泣)

たった今昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴って、ふと気づいてしまう葉山大輔16歳。


「……まあなるようになるやろ。知らんけど」


うんもう現実逃避しよう。そうしよう。

後は神様が何とかしてくれるだろう…皆さんもそう思いますよね?俺は思いませんけど。

……某英雄構文はやめておこう。怒られる気がする…

そんなこんなで一日が終わり、自宅にて高瀬さんから連絡が来ていた。



高瀬 『大輔くんは球技大会の種目は何にしたんですか?』



うーん何ともタイムリーかつ答えづらい質問が飛んできた。

まあ普通に考えればあの場にいなかった高瀬さんが他人が何の種目になったかなんて知らないだろうからこの質問は予測出来ていたのだが。

が!その問いに対して答えを用意できるかは別問題だから!



葉山 『えーと、分かりません…』

高瀬 『分からないとは?大輔くんはあの場にいたんじゃ…ああ、察しました。それは大変ですね」



ついに顔を合わせなくてもこちらの事情を察せられることに驚きすぎて言葉が出んわ。

……といってもこの状況だと、俺の体質と性格的に選択肢は自動的に絞られていくんだけどね。



高瀬 『では明日私から話をしておきます』

葉山 『本当に助かります…!ところで魅依さんはなんの競技に?』

高瀬 『私はテニスとバスケに。大輔くんは何か希望はありますか?』

葉山 『いえこれと言ってやりたいというものはないですが…』

高瀬 『そうですか。では明日また学校で。おやすみなさい大輔くん』

葉山 『はいおやすみなさい、魅依さん』



オッケー!これで高瀬さんに任せておけば何とかなるだろ。

俺は何の心配もせずに寝れるな!(フラグ)








球技大会の種目・ルール

ソフトボール・バレー・バスケ・バトミントン・テニス・サッカーの中から一人最低一つ、最高で三つまで種目に出ることができる。

各団体競技は全学年混合でくじ引きでのトーナメント。個人競技は四つの組に分かれ予選を行ってから上位四名ずつ十六人で本戦を行う。

全日程は三日ほど。なお一日程度の誤差を考えて球技大会の後は連休となる。


(球技大会の設定が甘かったり、球技大会の後が連休になっているのは作者の高校の球技大会が小規模なのと、コロナで色々規模が縮小してこの設定した規模の球技大会は経験したことがないからです。つまりご都合主義)

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