第五話『影響』

高瀬さんはレベルが違いすぎてやっぱ怖かった(デジャヴ)


はーいみんな、こーんにーちはー!

ぼっちのお兄さんだよ!

元気にしてたかな?

僕はねえ、今ご飯を食べてるんだー!何食べてるかって?それはね、ひ、み、つ。あはい、キモかったすか。

おっほん。でもねー、今僕困ってるんだー!

何がって?はは、隣にいる女の子のことが気になりすぎてご飯の味がしないことなんだー。

ん?今までの人生=彼女いない歴+童貞野郎はこれだから、って喧しいわ!

そこイコールとかで方程式みたいに式作ってんじゃないよ!傷つくでしょ!

……まあ事実だから批判はするけど否定はしないからね。


「葉山さん?ご飯食べないんですか?」

「あ、いや、はい。食べますよ、食べます食べます」

「ふふ、そんなに食べるって言わなくても」


うん。

俺、会話、出来てる。

感動。

この十六年間で過去一女子と話してるよ(母は除くっていうかあれは女子じゃない)!



そんなこんなで気づけば昼休みも終わりが近く、ちょうど食べ終わったところで、


「先に教室に戻りますね。一緒に行くとあなたが面倒なことになってしまうので」

「あ、はい」

「今日は楽しかったです。なので、また今度一緒に食べましょうね!」

「え!ちょ」


と言って彼女は教室に向かった。


「………疲れた」


いやこれほんとに。

相手があの高瀬さんだもん、緊張の一つや二つするってもんよ。

でもまあ。

あんな美人と話せたってだけで御の字だろうし、前向きに考えていこう。

あと、一つ懸念しなきゃいけないのは、


「高瀬さん、明日は来ないよな…?いや来ないで欲しいってわけじゃないんだが」


どうも俺の精神衛生上週一ぐらいのペースでも彼女と話すのは疲れると思う。

ていうかまた今度って。楽しかったって言ってたけど俺なんかしたか?……分からん!

まあどっちにしろ。


「きても来なくても普通に飯食えばいいんだしな」


と開き直り自分も教室へ向かった。





「高瀬さんどこいってたんだよー!」

「少し私情で」

「それにしても昼休み一杯の私情とはなんですか?」

「いえ、気にするほどのことではないですよ」


おっとーこれは。教室に入ると(誰も気づかない。泣くよ?)何やら騒がしくなっていた。

どうやらイケメンズに高瀬さんが詰め寄られているようだ。

うむ、傍目から見ればドラマの一場面とも取れるぐらい絵になってるな。まあ美男美女だし。

でもその内容は些か面倒いことになっている。

てか昼休みどこいってたかって?ここにいる影薄男子と弁当食べてましたが?

て言ったら余計めんどくなるから(言っても気づかれない可能性大)黙っとこ。


「「なあ高瀬さん」」


ふむ、ちょっと昼休みいなかっただけでこんなになるとは思わなかったなー。

ていうか主な騒ぎはあのイケメンズなんだけどその余波でクラス全体がなんだなんだとザワザワしてる。

うーん。この騒ぎ、どうやって収まるのか。私、気になります!


「お二人とも」


静かに、けどよく通る美声。その声にクラス全体が静かになる。


「あの、私だって一人になりたい時だってあるんですよ?私情でっていうのは嘘ついちゃったけど、私もたまにはプライベートな時間が欲しいんです」


その言葉にクラスの面々から「そうだそうだー」とか「プライバシーの侵害やぞ」とかイケメンズに対してヤジが飛んで、イケメンズは思わず「「ウッ……」」という具合に狼狽えていた。


「だから、これで昼休みの話は終わりです。……大分騒がしくなってしまいましたね、皆さん静かにしましょうね?」


「「「「「はい、高瀬さん(様)」」」」」


う、うわ〜。まさしく鶴の一声。あの騒がしかった教室が高瀬さんの言葉で一瞬で静かになったよ。

あとおい誰か、様付けで呼んだやついるぞ。

おっかねー。改めて高瀬さんの影響力が実感できたわ。なんなら教師でもできんやろあんなこと。


(こりゃ付き合い方考えないとやばいな)


と、明日からの関わり方に対し思案するが何も浮かばず結局、


(うん、なるようになるだろ!)


と適当になってしまうのだった。





今日の振り返り。

高瀬さんは天使だったけどハイスペックすぎてちょっと怖かった。

そして。

高瀬さんの影響力は半端ないって!

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