揺れる想い

青空

第1話 出会い

出会いは高校2年の春

友達の好きな人が、私の隣の席になった。

私、田上優里の隣の席、田川聡君。

田川君は、亀山みどりちゃんこと亀ちゃんの想い人。

亀ちゃんの話では、隣の席の女の子のくだらない恋愛相談を、田川君が親身になって聞いて上げていたらしい。

泣き出したその子の頭を、ヨシヨシって撫でている手に惚れたんだとか。

好きになるきっかけって、人それぞれだしね。

で、亀ちゃん曰く

「凄く優しい良い人!!」

な彼の隣の席になったので、いっちょ一肌脱ぎますか!と、田川君情報を収集する事にした。

「田川君、田川君、背高いね。身長幾つ?」

いきなり話しかけた私に、田川君は一瞬驚いた顔をしてから

「182cmかな?」

と、素直に答えてくれた。

(ふむふむ、182cmね)

心のメモ帳に書きながら、家族構成から彼女の有無。なんなら、好きな人が居るかどうかも聞いてみた。

「……田上って、俺の事が好きなの?」

どうやら質問をし過ぎたようだ。

呆れた顔をされて言われてしまい

「私では無い!」

と答えると

「え?それって……」

そう言って真っ赤になる田川君。

「おやおや、気になりますかな?兄さん」

うりうりって肘で突っ付くと

「田上、からかうな!」

って両頬をムニッと摘まれた。

すると田川君は吹き出して

「ブッサイクな顔」

と言って笑っている。

「ひっど~い!」

バシバシと田川君の腕を叩いていると

「痛い!痛い!」

そう言って田川君が私の腕を掴むと

「ねぇ、二人って付き合ってるの?」

と、前の席の添田千秋ちゃんが振り向いて聞いて来た。

「絶対に無い!」

と二人で答えると、添田さんはびっくりした顔をしてから大爆笑していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る